人間の精神性が上がって、きっといい社会になる
――コロナ対策だけ見ても、世界各国、各都道府県のリーダーの資質や力量が、これほど同時に比較されたことは過去にないですよね。
精神科医Tomy 知り合いが、SNSで暴言を吐くようになったりして、今までわからなかった人間の悪い面があぶり出されているでしょう。それは別に悪いことではないけれど、人との距離の取り方も変わっていくでしょうね。会社の中で上辺だけ取り繕ってきた能力のない人たちは、リモートワークでますます仕事できないことがわかって、誰にも相手にされなくなるかもしれない。
逆に、地味に真面目に人の役に立つことをやっている若者や、県民や区民を守ろうと奮闘している本物のリーダーが注目されるようになったので、その流れがしばらく続くでしょう。
そういうことを想定すると、社会はもっと良くなるはずです。人間の精神性がだいぶ上がるでしょうね。これは私の希望的観測ですけど、もしかすると今まで見たことのないような素敵な世界が訪れるかもしれません。
――すごく希望を持てる言葉ですね。ワクワクします。
精神科医Tomy ただやっぱり、人類が同時にコロナを経験したことで、いつ何が起きるかわからない恐怖と隣り合わせになったことは間違いありません。ですから、いつ死んでもなるべく後悔がないように、生き方、働き方を根本的に考え直す人も増えると思います。
そういう私も、結構、考えていますからね。コロナが落ち着いたらどうしようかなって。どこに住むか、今の仕事を続けるかどうかも含めて、いろいろと思案しているところです。国がやることがまったくアテにならないこともよくわかったから、「自分ができることはしっかりやらなくちゃ!」って思ってますよ(笑)。
「1年後に死ぬとしたら何しよう?」って考えてみて
――Tomy先生のように、これを機にやりたいことをやろうと思っても、何から手をつければいいかわからない人もいるかもしれません。
精神科医Tomy そういう人は、「1年後に自分が死ぬとしたらどうしよう? やりたいことは何だろう?」っていうことをリアルに想像してみてください。私も考えていますけど、明日とか1ヵ月後とかじゃなく、1年後までにやりたいことを具体的にイメージすると、結構、時間があるのでいくつか出てくるんですよ。
自分にとって本当に大切だと思うことを、いくつか選んでみるのもいいですよね。たとえば1年後に死ぬのに、お金持ちになりたいっていう人はそういないと思います。最後にやりたいことを真剣に考えると、何十個も出てないと思いますよ。たくさんリストアップしたところで、どっちみち1年後に死ぬと思えば、それほど選択肢は出てこないものです。
――私の場合は、親孝行したいとか、できるだけ子どもと過ごしたいとか、旧友に会いたいとか、人間関係に関することが多くなりそうです。
精神科医Tomy 私もそう思いますね。パートナーと楽しい時間を過ごしたいとか、恩師に会いに行きたいとか、友人たちと順番に飲み明かしたいとか、そういう選択肢が残る人は多いと思います。
私の場合、依頼いただいた原稿は書き終えたいとか、病院の仕事はちゃんと引き継がなきゃとか、業務的なことも入ってきますけどね(笑)。生きている間に、そういうことができるうちは幸せってことですよ。不慮の事故や災害で、突然、何もやりたいことができないまま死んでしまう可能性だってあるわけだから。