稼ぎ頭のスマホにブレーキ
中国以外では失速顕著

 郭会長の記者会見はほとんどの時間が米国の制裁関連のテーマにあてられたが、繰り返し使われて耳に残った言葉が2つある。

 1つが「手忙脚乱」。日本語で「てんてこまい」を意味する中国語で、この1年は激動であったと繰り返し語っていた。そしてもう1つが「補洞」。穴をふさぐという意味で、制裁によって受けたさまざまな穴をふさぐことを意味する。6000万行ものソースコードを作成し、1000以上ものコンピューターボードの開発。さらに新たなサプライチェーンを構築するなど、「補洞」に追われたという。

 だが、必死の取り組みでも穴はふさぎ切れていない。

 2019年12月期の売上高は、前年比19.1%増の8588億元(約12.9兆円)を記録した。一見、制裁の最中にあっても好調に思える数字である。

 事業別に見ると、携帯基地局などのキャリア部門が3.8%増の2967億元(約4兆4500億円)、ルーターなどのエンタープライズ部門が8.6%増の897億元(約1兆3500億円)、そしてコンシューマー部門が34%増の4673億元(約7兆円)という内訳だ。成長の大部分をコンシューマー部門、とりわけ稼ぎ頭のスマートフォンが担っているわけだ。

 ところがこのスマートフォンに危うさがある。調査会社IDCのレポートによると、ファーウェイのスマートフォン出荷台数は2019年に16.8%増の2億4060万台を記録し、アップルを抜いて世界2位となった。ただし、成長は中国市場がもたらしたものだ。中国以外での販売台数は、2018年の1億100万台から2019年には1億台と微減している。2019年第4四半期に限れば前年同期比740万台減の2310万台にとどまった。昨年の制裁により、グーグルのGMSが搭載できなくなったことが響いている。