「サムスンからでも
半導体は買える」

 制裁強化案が一部メディアにリークされていた3月段階で、ファーウェイは制裁が強化された際の対応策について言及している。

 エリック・シュー輪番会長(当時、ファーウェイは3人の輪番会長が半年ごとに交代する独自の制度を取る)は3月31日に実施した決算発表会で、「(ハイシリコン設計のチップセットを製造できなくなったとしても)韓国のサムスン電子、台湾のメディアテック、中国のスプレッドトラム・コミュニケーションズからチップセットを購入することができる。もしファーウェイ独自のチップセットが長期にわたり製造できなくなったとしても、多くの中国チップセットメーカーが成長すると確信している」と発言した。

 また米国が制裁を行った場合には、「中国政府はファーウェイを見殺しにはしない。米国と同様に、中国政府が安全保障を理由に米企業の5Gチップセットや基地局、スマートフォンなどのデバイスを禁止するという報復はありうる」と断言している。

 米国の制裁強化を受けて、中国商務部報道官は17日、「中国側は必要なあらゆる措置を取り、中国企業の合法的権益を断固として擁護する」との声明を発表したが、現時点ではまだ具体的な報復措置についての発表はない。

 米中貿易摩擦を受けて、注目を集めたのがデカップリング論だ。米国を中心とした経済圏と中国を中心とした経済圏とに世界が分断するとの見方だが、今回の制裁強化で改めて真実味を増している。米中貿易摩擦によって、中国では米国に依存しない半導体自主供給網を構築する機運が高まったが、この動きがさらに加速することになりそうだ。