米国の追加制裁は
甚大な影響をもたらす
米政府は5月15日、ファーウェイに対する制裁案を強化し、米国製の製造装置を使っている企業のファーウェイへの販売を禁止するとの方針を発表した。これについて郭輪番会長は「新たな制裁がファーウェイの製品ラインナップにどのような影響を与えるかはまだ検討中だ」と述べるにとどまり、具体的な見通しは明かさなかったが、甚大な影響を受けることは間違いない。
ファーウェイは中核部品であるマイクロプロセッサーなど半導体の多くを、子会社であるハイシリコンで設計し、製造自体は半導体受託製造の世界最大手・台湾TSMCに委託している。スマートフォン用のSoC(システム・オン・チップ)のKirin、サーバー用CPU(中央演算処理装置)のKunpeng、AIチップのAscendなど、ハイエンドの半導体はほぼすべてTSMCが製造している。その代わりを見つけることはきわめて困難だろう。
ファーウェイもTSMC依存のリスクは把握している。今年発表されたミドルレンジSoCのKirin710Aは、中国のSMICに製造を委託している。これはリスク分散の試みとみられる。ただし、TSMCと比べると1世代古い14nmプロセスでの製造であり、またSMICも米国の製造装置を使っているため規制対象になる可能性が高い。
この課題にファーウェイはどう対応するのだろうか?