米国政府が中国のハイテクガリバー、ファーウェイに対する追加制裁を発表した。ハイテク製品の中核部品である半導体の調達が至難になる制裁内容だ。元の制裁から1年を経て、ファーウェイの業績は意外にも好調さを維持している。だが5月20日まで開かれたファーウェイの年次イベントでは経営トップが、事態がいかに深刻であるかを吐露していた。(ダイヤモンド編集部 高口康太)
米制裁の多大な圧力を受け
膨張したのは2つの金額
「2019年5月16日にエンティティーリスト(米国の禁輸措置対象企業名簿)に掲載された後、ファーウェイは研究開発費を増額し、在庫を増やして対抗してきました。これらの措置は経営とリスク管理に多大な圧力をかけるものではありましたが、それでもわれわれは生き残っています」
中国通信機器大手ファーウェイ(華為技術)は5月20日までの3日間の日程で、年次の大型イベント「グローバル・アナリスト・サミット」(開催地・中国深セン本社)を開いた。18日の基調講演に登壇した郭平・輪番会長は開口一番、米国トランプ政権による一連の制裁に苦しんでいることを率直に吐露した。研究開発費と在庫の数値がこの1年の苦しみを端的に象徴する数字だという。
研究開発費は29.8%増の1317億元(約1兆9800億円)。研究開発費が膨らんだのは、米国の禁輸措置によって米グーグルのモバイルアプリ機能(グーグル・モバイル・サービス、GMS)などが使えなくなり、代替のソフトウエアを開発せざるを得なかったため。また在庫も73.4%増の1674億元(約2兆5100億円)と大幅に伸びた。こちらは必要な部品を調達難に備えて潤沢に備蓄するため、膨れあがった。