空き家・実家の片づけ#7Illustration:Ponomariova_Maria/gettyimages
親が認知症になると、口座が凍結されたり、家の売買ができなくなったりする事態になりかねない。相続や空き家問題にも大きな影響を与えるだけに、親の認知症に備えて対策を練っておく必要がある。特集『空き家・実家の片づけ 完全マニュアル』(全7回)の最終回では、知っておくべき認知症の基礎を解説する。
 
「週刊ダイヤモンド」2020年5月2日・9日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

認知症になると財産が「凍結状態」に

 超高齢化社会を迎えるに当たって大きな問題となっているのが「認知症」の増加だ。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると推計されている。

 親に判断能力がなくなると、預金や証券取引、年金の振込口座などが凍結される。名義人が意思表示できないと不動産を売ることも貸すこともできないため、実家も「凍結状態」に陥る。たとえ子供といえども、親の財産を勝手に管理することはできないのだ。

 また、認知症になってからの遺言書も基本的には無効である。遺言書は、書いた時点の判断能力の有無がよく問題となる。誰かが書かせたのではないかと争いになることも多い。

 このように親が認知症になると、実家や財産の管理は想像以上に難しいものとなるのだ。「うちの親はまだ大丈夫」と思っていても認知症は徐々に進行するもの。周りが気付いたときはすでに判断能力が失われていたというケースも多い。親が認知症になったときに慌てないよう、基礎知識を身に付けておこう。