半導体の地政学#6Photo:Drew Angerer/gettyimages

トランプ米大統領はファーウェイなど中国企業に対する強硬策を相次いで繰り出している。彼の戦略は複雑な国際関係を、超近視眼的な視点でかき乱すから厄介だ。この不安定な戦局を、日本企業はどう生き抜くのか。特集『半導体の地政学』(全8回)の#6では、国際情勢と技術貿易の問題に詳しい北海道大学公共政策大学院の鈴木一人教授が、日本企業のリスクとチャンスを解説する。(談話まとめ/ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

半導体を作れないという
ファーウェイの脆弱性を突いた

 米国トランプ政権による5月中旬の追加制裁で、中国ファーウェイ(華為技術)は台湾の半導体受託製造最大手、TSMC(台湾積体電路製造)から半導体を調達することが至難になった。この制裁は米国が、ファーウェイの抱える「脆弱性」をピンポイントで突いたものだ。すなわち、ファーウェイは半導体という通信技術に不可欠な部品において自社で設計はできても製造はできないという弱点を狙っている。

 この追加制裁により、ファーウェイはもちろん打撃を受けた。それに加えて、ファーウェイと取引するTSMCや、TSMCに半導体製造装置を供給している米アプライドマテリアルズのような企業も影響を被っている。日本にも半導体関連の有力企業が多い。この状況は日本の半導体関連企業にどういった危機と商機をもたらすのか?