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経済産業省が世界の大手半導体メーカーの日本誘致を検討していることがダイヤモンド編集部の調べで分かった。コロナショックを受けて、欧米では中国を想定した外資による自国企業の買収防衛策の行使が相次いでいる。日本でも国内半導体部材メーカーの日本回帰を促す目的で、外資誘致プロジェクトを発足することにしたのだ。特集「電機・自動車の解毒」の#02では、米中貿易摩擦と買収リスクを同時に解消するという「ウルトラC」プロジェクトの全貌を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 新井美江子、浅島亮子)

中国が日本予算に過剰反応
警戒される日本の「国内回帰」

「キヤノンは中国から撤退するのですか」

 最近、キヤノンの中国法人には中国系メディアからこのような問い合わせが殺到している。これまでキヤノンは中国撤退をほのめかすような発言などしたことがない。実は、同様の質問はキヤノンのみならず、別の大手日系メーカーの中国法人にも寄せられているようだ。

 中国系メディアが問い詰めずにはいられなくなった原因は、日本政府が予算に盛り込んだ“ある項目”にある。

「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金、2200億円」――。

 4月30日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、「緊急経済対策」費用が計上された2020年度補正予算が成立した。その対策として経済産業省が盛り込んだのが、コロナ危機で脆弱になった国内サプライチェーンを再構築するための予算だった。

 具体的には、生産拠点が中国などに過度に集中していた製品・部素材のサプライチェーン寸断を避ける目的で、国内に生産拠点を整備する場合に助成されるというものだ。

 新型コロナウイルスの世界的まん延により、人やモノの移動が物理的に制限される“世界封鎖”状態になった。コロナの震源地だった中国の生産・物流がストップしたことで日本向けの製品・部素材の供給がストップするケースが頻発した。実際に、調達ソースを一極に集中させておくことのリスクが顕在化したのだ。そのため、そうしたリスクを分散するための一環として国内回帰を図ろうと組み込まれたのが今回の予算だ。

 中国側はこの予算に過敏な反応を見せた。「日本企業の国内回帰=サプライチェーンからの“中国外し”」と深読みし、日系メーカーが中国から撤退してしまうことを危惧したのである。

 もちろん、キヤノンをはじめ日系メーカーの回答は「中国は重要なマーケット。撤退などあり得ない」である。その意味では、中国側の深読みは過剰反応ではあった。

 だが実は、それが過剰反応だとも言い切れない極秘計画が持ち上がっている。この予算に計上した政策とは全く別物として、経産省が日本企業の国内回帰を促すプロジェクトを進行させているからだ。一体、どのような計画なのだろうか。