新しく開発するコードでは、すべての使用場面に通用する二次元コードの決定版、世界標準をめざした。こうして各国の文字コードを効率よくコード化する機能や、汚れても読み取れる機能の搭載が要件に組み込まれていった。

◇ファインダパターンの発明

 マトリックス型は情報密度が高い。しかし格納する情報量を増やすと、読み取りが遅くなるという難点があった。検出速度を上げるために採用されたのが、切り出しシンボルによるファインダパターンである。これはコードの定位置に特徴的な模様を入れることで、迅速に誤りなく検出できるようにする工夫だ。

 原のチームは、新聞、雑誌、書籍、書類など、国内外の数千点の情報をデータにして解析し、活字について世の中でほとんど使われていない白黒比を発見した。それがQRコードの外枠に3つ置かれている白と黒の正方形、ファインダパターンだ。

 これに加えて、誤り訂正機能も導入した。汚れたり破損したりした部分に、どのような情報が格納されていたかを計算で正しく割り出す機能だ。必要な情報量を担保するため、最大値を30%とした誤り訂正機能が組み込まれた。

◇「QRコード」という命名

 このコードが早く読める(Quick Response)コードという意味合いで「QRコード」と名付けられたのは、1994年8月のことだった。

 それから国際規格として標準化されるにあたり、コードが読み取られた角度を特定する「アライメントパターン」、読み取られた湾曲状況を特定する「タイミングパターン」という2つの歪み補正パターンが採用され、現在の形となった。数字にして7000キャラクタの格納が可能であり、1秒間に30シンボルの読み取りができる、最も効率の良い二次元コードの誕生である。

◆「業界」標準化と「国際」標準化の並行戦略
◇国内外での標準化をめざす

 コードの形が定まったことで、いよいよ普及に向けた取り組みが始まった。そのころ、ライバルである既存の二次元コードは、特許権を行使していたがためにあまり普及していなかった。またトヨタで用いられていたNDコードは世界標準になっていなかったため、海外にある工場に導入できなかった。そこで特許を開示し、権利行使しないパブリックドメイン化を宣言しつつ、国内外での標準化を進めることにした。