クリエイティブなブランド物は
在庫回転が遅く、支払い条件が厳しい
2点目は、在庫の回転が遅く、買掛金の支払いサイト(期間)が短いことだ。分かりやすくいえば、「商品が売れて在庫がお金になる速度が遅いのに、仕入れ代金の支払いは速い」。だから、日頃から多額の運転資金が必要なところに、コロナ休業のように売り上げが激減する事態が生じれば、容易に資金繰りに窮してしまう。著名なセレクトチェーンの多くは、そんな商品財務体質が指摘される。
資金繰りの基本は、「在庫回転や売上金の回収は速く、仕入れ代金の支払いは遅く」。
だが、ファッション性や高級感で付加価値が乗ったブランドほど、購入する人が限定されて商品回転も遅くなりがちだ。それなのに、付加価値の高いブランドほど仕入れ条件が厳しい。これがアパレル業界の事情だ。
クリエイティブなブランド物はそれなりに付加価値が乗って小売価格も仕入原価も高く、支払い条件も厳しいのに、売れる速度は遅く、売り切るのも難しい。逆に低価格でベーシックな商品ほど、回転が速くて売り切りやすく、仕入れ条件も緩いから資金繰りは楽だ。
高付加価値なブランドやストアほど、都心部の百貨店や商業施設への依存度が高い。キャッシュレス比率も高く、売上金の回収も遅い上に、休業期間も長引いて売り上げの落ち込みも大きく、多額の運転資金を要する商売体質が破綻リスクを高める。