コロナで苦境のアパレル業界
資金繰り余裕度をチェック!
新型コロナウイルスの感染拡大で、外出自粛要請が長引いている。インバウンド(訪日外国人)需要の消失も重なり、消費者の来店を前提とするアパレルや外食などの小売業が苦境に立たされている。政府が5月6日までとしている、緊急事態宣言の解除の行方も不透明だ。
そこで、今回は「『コロナに強い』アパレル企業ランキング」と題して、企業の短期的な支払い能力を示す財務指標である「流動比率」が高い順にアパレル企業をランキングした。
流動比率は「流動資産÷流動負債×100」で求める財務指標で、1年以内に返済する必要がある負債に対して、1年以内に現金化できる資産がどれくらいあるかを示すもの。この流動比率によって、アパレル企業における資金繰りの余裕度の高さを探った。
望ましい水準は、業種によっても異なるが150~200%程度が目安とされる。流動比率は、2019年1~12月期の有価証券報告書を基に計算した。
それでは、早速ランキングを見ていこう。
1位のシャルレは857%
59社中17社が150%未満
「コロナに強い」アパレル企業ランキング1位は、女性用下着のシャルレで流動比率は857.1%。流動負債の20億円に対して、流動資産は167億円となっている。
流動資産には現金や普通預金のほか、売掛金や受取手形、有価証券や商品、製品などが含まれる。
売掛金や受取手形は回収しなければ、商品や製品は売れなければ、現金化できない。最も安全性が高い現金同等物を見ると、シャルレは85億円を保持している。
平時であれば、「資金を眠らせており効率的な経営ができていない」「配当を増やし株主に還元すべきだ」といった批判が起こりそうだが、コロナ危機のような状況になると、“キャッシュ・イズ・キング(現金が王様)”という言葉が重みを増してくる。
シャルレは訪問販売が中心なので、今回の局面は確かに厳しいものがある。それでも、ため込んできたキャッシュが防波堤となってくれるはずだ。