2018年9月、KDDIの専門組織、高度な専門性を有するパートナー企業、そしてお客さま企業が新規事業の共創に取り組む「KDDI DIGITAL GATE」がオープンした。KDDIには、オープンイノベーションの場を提供し、スタートアップを支援する「KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)」がある。これら2つのイノベーション加速装置が“結合”することで、スタートアップと大企業がオープンに共創する好循環システムが生み出された。
KDDI発
2つのイノベーション・ビークル
編集部(以下青文字):日本でも、オープンイノベーション、異業種コラボレーションの重要性がようやく認識され始めました。KDDIは、他社に先駆けて、スタートアップ向けの「KDDI ∞ Labo」(ムゲンラボ)、そして大手企業向けの「KDDI DIGITAL GATE」(以下GATE)という、オープンでダイナミックな2つの場をつくりました。
中馬:ムゲンラボは、2011年8月、革新的なインターネットサービスを有するスタートアップやエンジニアを対象としたインキュベーション・プログラムとして立ち上がりました。実は、当時スマートフォンの普及が本格化し、それに伴い通信キャリア各社には新たなチャレンジが求められていました。
フィーチャーフォンが主流の時は、通信キャリアがOS、端末、付帯サービスなど、バリュープロポジションのすべてをコントロールし、言うまでもなくアプリケーション開発の主導権を握っていました。ところが、iPhoneの登場を皮切りに、誰でもアプリを自由に開発できるようになり、その提供先は、通信キャリアではなく、アップルやグーグルに変わりました。
つまり、ゲームのルールが書き換えられてしまったのです。KDDIはこの時、他社やお客さま企業との共創を通じて、新しい価値を生み出していく必要を悟りました。
そこで参考にしたのが、シリコンバレーのアクセラレーター・プログラム「Yコンビネーター」(通称Yコン)です。これは、スタートアップの方々にプレゼンテーションしてもらい、その中から選りすぐりの起業家に3〜6カ月のトレーニングを受けていただくプログラムです。このYコンをモデルに始めたのがムゲンラボで、国内の事業会社として初のアクセラレーター・プログラムです。以後、さまざまなスタートアップへの支援や出資を行っています。