銀行vsコロナ#12
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ポストコロナの世界で、銀行界は新たなリスク対応と構造改革の見直しを迫られている。特集『銀行vsコロナ』(全12回)の最終回では、昨年まで三菱UFJフィナンシャル・グループで社外取締役を務め、銀行経営に詳しい川本裕子・早稲田大学大学院経営管理研究科教授に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

米国の失業保険申込件数は平時の30倍!
蓄えた資本を活用し銀行は企業支援せよ

――新型コロナウイルスは、邦銀にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

 大前提として、新型コロナの感染拡大によって、打撃を受けている産業セクターとそうではないセクターが明確に二分されました。クラウドサービスなどはそれほどの落ち込みでもないようです。

 問題は、裾野が広く経済に大きな影響を与える自動車業界や建設業界がどうなるかです。ビジネスで最も重要なのは将来の予測可能性ですが、例えば自動車の購買数は消費者心理に左右されるため、見通しにくい状況が続きます。

 今は日米の企業共に、今期の第3四半期で経済がリバウンドするという見立てをしていますが、これがシナリオ通りに進むかどうかは非常に重要です。米国では失業保険の新規申請件数が3月末の週で約660万件となっており、この数字は平時の約30倍、リーマンショックのときと比べても約10倍となります。米国では、脅かされかねない職の数が4000万や5000万にも至るという予想もあります。

 自動車のように、今後大きく業績が崩れて経済に多大な影響を与えることが危惧される業界もあります。銀行が抱え込む信用リスク量は、そうした業界の動向次第で大きく変化するでしょう。