足元を見られないよう、ニュートラルに語る
・社外の会議/面談の場合
相手からの売り込みや提案を受ける場合、問題が相手に正確に伝わらなければ効果的な提案を受けられなくなるのですが、かといって、問題が大きいことを悟られると、ふっかけられる可能性があります。
相手が売り手の場合はそもそも熱意が高いでしょうから、むしろ、こちらの優位性が崩れないよう、相手にとっての脅威を伝えるとよいかと思います。それが後の価格交渉の布石となるかもしれないからです。
いずれにせよ、大切なのは「うちはすごく困っている。あなたのところに頼るしかない」という姿勢は見せず、ニュートラルに問題を語ることです。
As we said, we are currently trying to improve our yields.
→ご案内の通り、歩留まりの向上に取り組んでいます(歩留まりを課題としている)。
ときには、競合の存在を知らせる、あるいは、社外に頼らず社内で対応する可能性があれば、それを率直に伝える場合もあります。
We are looking to find a potential partner.
→今、ご一緒する会社を探しています(現状、他社も考えていることを伝える)。
My boss is not yet convinced about having an outside partner. However, I’m sure we need some outside expertise.
→上司は、社外のパートナーと組むことにまだ納得しておりません。ですが私は外部の専門家の助けが必要だと考えております。
また、脅威を示すのではなく、相手を褒めたり、期待を示したりすることで、モチベーションを高め、良好な関係を築くことも有効です。
We’ve heard many good things about your company.
→御社のいい噂をいろいろと聞いています(相手を褒める)。
We’re excited to have you here today.
→貴社とお会いすることをとても楽しみにしておりました(期待を述べる)。
様々な人々が集まるグローバル環境では、常に皆のモチベーションを上げる工夫が欠かせません。危機感のパンチラインは、事前に何が有効かを吟味し熟考して紡ぎ出す必要があります。その手間は自分自身の「予習」につながるだけでなく、必ずやチームのエネルギー源となるものです。ぜひ、時間を取ってください。
イングリッシュブートキャンプ株式会社代表
ハーバード経営大学院 ジャパン・アドバイザリー・ボードメンバー
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー アドバイザー
静岡県出身。静岡県立清水東高等学校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を経済学・政治学のダブル専攻で卒業後は、シアトルでヘリコプターの免許を取得後帰国。1997年4月三菱商事株式会社入社。鉄鋼輸出部門に配属され様々な海外プロジェクトに携わる。2004年より、ハーバード経営大学院に留学。2006年同校よりMBA(経営学修士)を取得。三菱商事に帰任後は、米国に拠点を持つ子会社を立ち上げ代表取締役として経営。2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。イングリッシュブートキャンプ社代表も務めるかたわら、大手総合商社各社をはじめ、全日本空輸、ダイキン等、様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。