あの手この手でチームのギアをあげる言い方は、社内で新しいチャレンジをする場合、クライアントにセールスをする場合、逆にこちらが提案を受ける場合など、置かれた立場によって異なってくる。それぞれ、どんな言い回しが効果的だろうか。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。
3パターン別、ギアを上げる会話の切り出し方
メンバーのやる気を引き出し、チームのギアをあげる言い方は、会議の種類や、相手と自分の置かれた立場によって異なってきます。
新しいチャレンジをする「新規事業/変革の場合」、クライアントにこちらから提案を持ちかける「セールスの場合」、逆に、相手から売り込みを受ける側に立つ「社外の会議/面談の場合」の3つのパターンについて、それぞれの会話の切り出し方を見ていきましょう。
・新規事業/変革の場合
新規事業や変革の場合でも、社会や対象者が直面している問題の大きさについて訴求することで、ギアを一段上げることができます。
Because of this problem, people are greatly inconvenienced.
→この問題のせいで、人々は大きな不便に直面している。
We estimate that society is losing about $5 million a day because of this issue.
→我々の試算では、この不便さにより社会は毎日500万ドルの損失を被っている(社会全体の経済的損失に触れる )。
問題の大きさは、すなわち機会の大きさでもありますので、そこまで言及できれば素晴らしいでしょう。
Our research found that the automobile industry as a whole is losing about 4% of its sales because of this issue.
→リサーチ結果によれば、自動車産業はこの問題により全体として売上げの4%を損している。
This means a loss of more than $12 billion for Toyota alone.
→トヨタだけでも120億ドル規模の損失だ(問題の大きさを参加者が把握しやすい数字で示す)。
This is a very good opportunity for us.
→これは我々にとって非常に大きなマーケットだ(機会であることを強調 )。
・セールスの場合
一方、こちらから提案をする場合は、いかに相手から情報を引き出すかがカギとなります。社内の問題を初対面のベンダーに包み隠さず話す人は、それほどいません。後の交渉で不利にならないよう、情報開示を渋るクライアントも多数います。
そんなときは、先方が直面している問題の大きさを指摘し、手掛けた他社の解決事例を引き合いにして話すと効果的です。
Our clients, on average, had been losing $300,000 a day.
→私たちのクライアントは平均して毎日30万ドルの損失を垂れ流していました(インパクトのある数字で普段の取引相手が抱えている問題の大きさを示す)。
However, in every case, use of our products solved this problem.
→しかし、私たちの製品を導入してすぐに、その問題は解決されました(自社製品が解決に貢献したことをアピールする)。
Some of our clients had been losing 10% of their net profit every year because of this defect.
→クライアントの何社かは、その欠陥のせいで毎年純利益にして10%の損失を出していました。
With just one simple change, they completely eliminated their loss.
→シンプルな変更(=私たちの製品の導入)により損失がなくなりました。