『ファンをはぐくみ事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書』の発売に合わせて、コミュニティ運営者などが集まるオープンコミュニティ「河原あず・藤田祐司のコミュつく!」がスタートしました。同時に毎週火曜夜9時~10時には、生配信オンラインイベント「コミュつく!
をシリーズ開催している。本連載ではその内容を紹介します。この初回ゲストとして登場したのは、『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』著者でありパラレルマーケターの小島英揮さん。前編(「新型コロナの影響で活況の「コミュニティ」、ブームは続く?」に続き、後編では企業の中でコミュニティ運営を円滑に進めるためのコツなどを聞いた。

オンラインで通用しない人間の「オーラ」、どう演出する?『ファンをはぐくみ事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書』著者の藤田祐司氏(上左』と河原あず氏(上右)、初回ゲストの小島英揮氏(下中央)

藤田祐司さん(以下、藤田):小島さんはコミュニティについて説明する時に、「ファーストピン」という言葉を使いますね。著書の『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』でも書かれています。

小島英揮さん(以下、小島):ボウリングの真ん中にあるピンを「ファーストピン」と言います。この1番ピンに当たればストライクになります。コミュニティでも同じように、製品やサービスが広がっていく時に、最初にタッチしないといけない人がいると思っています。

 これまでのマーケティングは、ピンを1本1本倒すためにボールを投げていました。これではお金も人もかかります。けれど1番ピンが分かれば、効率よく人に伝えていくことができる。ただ難しいのは、ボウリング場だとファーストピンはすぐに分かるけれど、コミュニティだとそれが見えづらいということなんです。

 これを見つけないといけません。ファーストピンである本人が自覚していないケースもありますから、それを自覚してもらう必要もあります。その人物が見つかれば、スケールできる。これが重要性なんです。

 何もないまま、たくさんの人に会ってもあまり効率的ではありません。コミュニティに対して、企業が期待するような効率性、人が人に伝えていくような連鎖は起きづらいままです。

藤田:コミュニティをつくろうとなると、みなさん、つい最初から100人集めたイベントをやろうと考えるんです。ただ、それでは失敗しますよね。コミュニティを醸成する時にどうスタートさせるのか。最初のとっかかりは、実は5人程度の小規模なミートアップでいいんです。会議室に集まってもらうようなところからスタートしていく。そこを自覚することが大切ですよね。

小島:「あなたがファーストピンですよ」と言っても「自分はまだまだだ」と謙遜する人も多いんです。ただ、その人の話を聞いて、別の人は役に立つ。ファーストピンはすごい人じゃないといけないと思い込んでいる人もいますが、ファーストピンとなる人がすごすぎるとダメですよね。「あの人みたいにやってみたい」と思わせるような距離の近さが大切なんです。

 コミュニティというと、「インフルエンサーを連れてくればいい」と考える人もいますが、みんながそのインフルエンサーと同じようなことができるわけではありませんよね。インフルエンサー自身もそれに自覚的だから、実際にはあんまりいい方向に作用しないケースもあります。