日本で買える “最後のBlackBerry” となる「BlackBerry KEY2 Last Edition」が6月30日に299台限定で発売されました。価格は6万9800円(税込)。

 7月15日現在、限定版は完売。シリアルナンバーがない通常版「BlackBerry KEY2」はまだ販売中ですが、残りわずかとのことです。

 BlackBerryは、カナダのブラックベリー(旧社名はリサーチ・イン・モーション)が開発した物理キーボード付きの携帯電話。iPhoneが発売される以前から、Eメールやウェブブラウジング機能を備え、スマートフォンの先駆的な存在として、主に欧米のビジネスマン層に人気を集めました。当初は独自OSを採用していましたが、2013年にAndroidに切り替え、2016年以降は中国のTCLコミュニケーションがライセンス契約をして、製造・販売を行なっていました。

 そのライセンス契約は2020年8月31日に終了します(サポートは2022年8月31日まで継続)。今のところ「BlackBerry」ブランドを引き継ぐメーカーは現れておらず、今回発売された日本オリジナルの「BlackBerry KEY2 Last Edition」が最後のモデルとなりそうです。

 売り切れ必至(すでに公式オンラインストアではキャンセル待ち)で、将来プレミアがつくに違いない希少なモデルを借りることができたので、いち早く使わせていただきました。

Last Editionの付加価値は
シリアルナンバーとアラミドケース

 BlackBerry KEY2 Last Editionは、本体は2018年9月に発売された「BlackBerry KEY2」と同じです。というか、KEY2そのものです。そこに限定台数299台のシリアルナンバーを刻印し、Last Edition限定のアラミドケースを付けて、スペシャルパッケージに収めたのが「Last Edition」です。

BlackBerry KEY2 Last Editionはスペシャルパッケージで販売
Last Edition限定のアラミドケースや、BlackBerryのロゴ入りのイヤホンを同梱
サイドフレームに限定モデルのシリアルナンバーが刻まれている

 BlackBerry KEY2は、BlackBerryシリーズにおける完成形と称されるモデルで、ネット上のクチコミなどを見ると「名機」と評価しているファンも多いようです。

 パッケージから取り出して、真っ先に感じたのは“軽さ”。ハードウェアキーボードを搭載しつつ、160gしかないのです。その分、画面サイズは4.5型と小さめですが、タッチ操作がしづらいほどではありません。片手でもラクに持てて、両手で持つとキーボード親指で押しやすく、絶妙なバランス感があります。縦に長い最近のスマホよりも扱いやすいと感じる人はいるでしょう。

4.5型のディスプレーの解像度は1620×1080ドット。表面にゴリラガラスを使用

 背面は「ダイヤモンドグリップ」という滑りにくい加工が施されています。指紋が付くにくいことも利点でしょう。側面には、軽量ながら強靭なアルミニウム合金フレームを使用。そこにシリアルナンバーが刻まれています。

背面パネルには細かい格子状の模様をあしらい、滑らない仕様に
右側面に音量キーと電源キー、そして自由にショートカットを設定で切る便利キーを搭載
上部には3.5mm穴のイヤホンジャック
底部のUSBポートはType-Cだ

 付属のアラミドケースを被せるとシリアルナンバーは隠れますが、その代わりに「Last Edition」をアピールできる趣向。アラミドは薄さと強度を両立させて高機能繊維で、本体にピタリと装着でき、重くなった、分厚くなったと感じることなく使えることがメリット。手に軽く吸着するようなマットな手触りも心地良く、裸で使うか、ケースに入れて使うかを迷うことになりそうです。

アラミド繊維製のケースは薄くて軽く、本体に密着するように装着できる。再び外す時は、外しにくかったくらいだ
アラミドケースには「BlackBerry KEY2, Last Edition, JPN」と記されている

クリック感が心地よいハードウェアキーボード

 BlackBerry KEY2の最大のアドバンテージは、QWERTY配列の物理キーボード。正直、これを必要としない人は買おうとは思わないでしょうし、キーボード必須の人には垂涎のモデルと言って差し支えありません。

前モデルのKEYoneよりも21.6%大きくなったQWETYキーボードを搭載。指紋センサーも備えている

 実は、筆者はフルキーボードを備えたスマホを使うのは久しぶりでした(おそらくauのIS02以来)。タッチパネルとキーボードの両方を使えるのは、一見便利なように思えて、実は操作性が複雑になるので無駄、と感じていたのです。なので、久しぶりにBalackBerryを手にして、ちゃんと使いこなせるのかどうかが不安でした。実際、最初はGoogleアカウントを登録するだけの操作でも戸惑いました。日本語から英字への切り替え方がわからなかったり、altキーを押しながら入力する数字や記号の入力を間違ったり……。

 ですが、キーのクリック感はすごくいいんです。軽すぎず、重すぎずといった絶妙なクリック感で、押す力が弱くて反応しないなんてこともなく、入力の確実性が高く、押し間違わない限りは安心して操作できます。「カチカチ」と「プチプチ」の間くらいの打鍵感です。キーピッチは広いとは言えませんが、従来のBlackBerryに触れたことがある人なら、むしろ広く感じるかもしれません。普段、パソコンを使うことが多い人は、このキーボードに慣れるまでに、そんなに時間はかからないかもしれません。

ほどよいキーストロークで、カチカチと(音が鳴るわけではないが)軽快に文字入力ができる
各キーに長押しまたは短押しで起動できるアプリを設定することも可能
BlackBerryキーボードとiWnn IMEがプリインされているが、自分が使い慣れたキーボードをインストールして、それを物理キーボードで使うことが可能。有効にしたキーボードはaltキーとEnterキーの同時押しで切り替えられる

 さらに、このキーボードは、タッチパッドのように表面をなぞる操作にも対応しています。画面のスクロールや、予測変換の選択などに使え、使いこなせれば、よりスムーズに操作できそうな印象です。


物理キーボードの表面をなぞって操作できる「Touch-Enabled キーボード」機能も重宝

ミドルレンジとして十分なスペックだが、不満点も……

 OSはAndroid 8.1。2世代前のOSですが、BlackBerryで、Android 9以降のジェスチャーナビゲーションを必要とする人は少ないのでは? 筆者が1週間ほど使った範囲では、操作性で不便を感じることはありませんでした。

ホーム画面
アプリ一覧画面
クイック設定画面
画面端から素早く表示できるカレンダーや連絡先などの画面は、表示位置や透明度などをカスタマイズ可能

 プロセッサーはSnapdragon 660で、メモリーは6GB。キー操作やタッチ操作の反応はキビキビとしていて、スクリーンをスワイプした際の追従性も的確でした。フツーに、ちゃんとミドルレンジという印象です。内部ストレージは128GBで、microSD(最大2TB)も装着できます。長期的な利用を考えている人にも安心のスペックです。

「Geekbench 5」でベンチマークを測定してみた。ミッドレンジモデルとして順当なスコアを記録した

 しかし、残念と感じたこともあります。まずはバッテリー容量。昨今のスマホでは標準的な3500mAhのバッテリーを内蔵し、販売元のFOXのウェブサイトには「一般的な使い方であれば約2日使える」と書かれていましたが、筆者が使った範囲では1日で電池残量がピンチになることもありました。パソコン代わりに使うなど、ヘビーに使う場合は充電器やモバイルバッテリーを携帯すべきでしょう。最終モデルということもあり、長く使い続けたい人も多いでしょうから、バッテリーにはなるべく負担をかけずに使いたいですね。

急速充電(Quick Charge 3.0)に対応しているので、充電は速い。充電ケーブルを挿すと「充電のみ」か「ブーストモード」を選択でき、画面端に表示される緑の線で充電の進捗がわかる

 SIMフリーながら、SIMが1枚しか挿せないことも残念。BlackBerryはビジネスに適した端末なので、仕事用とプライベート用の回線を使い分けたいというニーズは強いと思うんですよね。できれば、DSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)に対応させてほしかったなぁというのが本音です。

SIMは1枚しか挿せないが、日本向けモデルは国内3大キャリアに対応している

いい感じで背景がボケるデュアルカメラ

 カメラはデュアルレンズ。1200万画素(視野角79.3度、レンズ6P、絞り値f1.8)+1200万画素(視野角50度、レンズ6P、絞り値f2.6)という構成で、背景をぼかす撮影も楽しめます。

アウトカメラは1200万画素のデュアルカメラ
インカメラは800万画素

 筆者が試用した期間は、あいにく天候には恵まれなかったのですが、初期設定のままで結構明るく撮れるように感じました。

建物を撮影した作例。ナチュラルな色で撮れる印象
雨に濡れた道を撮ってみた
雨天の薄暗い状況でも、ほどよい明るさで撮れる
屋内で撮った作例
電車を撮ってみた
風鈴にピントを合わせると、後方がいい感じでボケた
花を撮ってみた
料理を撮ってみた

 画面に表示されるシャッターボタンだけでなく、指紋センサーや側面の便利キーもシャッターにできるので、縦向きでも横向きでも撮りやすいのが良いところ。ただし、シャッター音がやや大きいことが気になりました。

 ちなみに、インカメラは、ここに載せられるような作例は撮れませんでした。つまり、被写体がそれなりだと、それなりの写真しか撮れないという印象です。

【まとめ】唯一無二のデザイン&使用感に物欲を刺激されまくり

 スマホの形状・デザインが画一化する中、フルキーボードを搭載したストレート端末であるBlackBerryは、唯一無二の存在と言っていいでしょう。筆者は、普段フツーのスマホを使っていて、久しぶりにBlackBerryに触れたわけですが、非常にワクワクしました。起動時の画面から、かっこいいんです。人と違うモノを使うって楽しいですよね。持っているだけで満たされた気持ちになるし、人に見せたくもなる。魅力を話したくもなる。物欲を刺激されまくりでした。

 BlackBerryの代名詞とも言えるキーボードは、1週間では使いこなせませんでしたが、「さすが20年の歴史を持つBlackBerryのキーボード」と思える仕上がり。なるべく画面をタッチせずに、キーボードだけで操作できないものか、そんな気持ちになってくるんですよね。超進化したガラケーを使っているような、ちょっと懐かしい気持ちにもなりました。

 299台限定なので、このLast Editionの入手は至難かもしれませんが、通常モデルのKEY2や、廉価版のKEY2 LEなどは、まだ購入できるようです。BlackBerryファンはもちろん、「実はずっと気になっていた」という人も、8月末までの購入のラストチャンスを逃さないようにしてくださいね!