中国経済が厳しい局面を迎えている。中国各地を回ると、ひょっとしたらリーマンショックの09年よりも厳しいといった声が絶えない。景気の後退がいろいろなところに出ている。たとえば、これまで売り上げのことをあまり心配していなかった日系建機メーカーも、製品の販売に赤い信号がともったのを体感している。中国企業を見ると、こうした傾向がより顕著に出ている。
需要減少、コスト上昇で、
減産や生産停止の企業が増加
7月27日に閉幕した浙江省人民代表大会常務委員会の第34次会議では、2012年上半期の浙江省全域における経済運行状況に関する同人大財政経済委員会の調査報告が、大きな注目を受けた。この調査報告は「市場のニーズは依然として不振のままだ。一部の企業が運営困難な状態にある。生産・経営の総合コストが高騰する。地方財政の収支バランスの維持に圧力が大きい」といった4つの問題を指摘している。
ご存じのように、中国経済を飛行機にたとえるなら、珠江デルタと長江デルタは、その飛行機の飛行を支える2つのエンジンだ。珠江デルタがすでに傾いてしまったことは周知の通りだが、長江デルタも危なくなると、大変な事態を招いてしまう。
長江デルタは上海を先頭に、浙江省と江蘇省が両翼を成している。とくに民営企業が一番発達している浙江省は経済危機に強いという定評があった。しかし近年、多くの民営企業が利益の出にくい製造業から、暴利が望めそうな不動産投資に走ったため、浙江省経済の不景気に対する耐久能力が大幅に落ちた。
先述したこの調査報告によれば、企業の経営・生産の総合コストが上がるに従い、受注が一層減少し、減産や生産停止に追い込まれた企業が多い。温州市だけでもある規模以上の企業では、60.4%もの企業が減産や生産停止に追い込まれた、と具体的に指摘している。