韓国に“踏み絵”
対中包囲網を強化する米国
足元、日増しに米国と中国の対立が緊迫感を増している。その背景には、政治、経済、安全保障など多くの面で、現在の覇権国である米国が中国に追い上げられていることがある。政治的には、中国は強力な経済をバックに国際社会での発言力を増している。また経済面では、「2030年までに中国が米国を抜き世界一の経済大国になる」との予測が増えてきた。さらに安全保障の面では、中国は海軍力を強化して南シナ海に進出するなど、米国の覇権は徐々に退潮した。
そうした中国の台頭を許した一因として、米国のオバマ前大統領が目立った行動をとらなかったこともある。ある意味では、それがトランプ大統領を生んだ要因の一つとも考えられる。
トランプ政権は中国の台頭を抑えようとかなり強硬だ。米国の保守派から見ると、トランプ大統領だからこそ中国に強い態度で臨めたともいえる。コロナショックが発生するまで、対中強硬姿勢は保守派層を中心にトランプ氏が約4割の支持率を守った主な要因だった。また、国際情勢の安定にとっても米国が中国に毅然とした態度で臨むことは重要だ。
最近、世界経済の今後の行方を左右する5G通信分野で、米国が中国のファーウェイを締め上げている。これからも、米中対立はさらに先鋭化する可能性が高い。米国は英・豪・加を自陣に引き入れ、対中包囲網を強化している。独仏を中心にEUも中国と距離を取り始めた。