「無観客試合には意味がない」「死ぬクラブも出てくるかもしれない」――。プロスポーツには華やかなサッカーのJリーグやプロ野球だけでなく、コロナ前から厳しい収益の中で戦う下位リーグも存在する。特集『激震!コロナvsプロスポーツ』(全12回)の#2では、Jリーグ史上最年少で社長就任後、10カ月で退任し、現在はFC琉球の事業担当を務める三上昴氏にコロナ後のJ2クラブの経営について聞いた。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
「サッカーの質だけでの比較」はきつい
お客さんがいてこそ価値がでる
――6月末にJ2リーグが無観客試合で再開されました。社長退任後、現在の事業担当の立場で試合を見て、どんな印象でしたか。
言葉は悪いですが、お客さんを入れないと意味がないと感じました。なぜなら、サッカーの質だけで比べられてしまうから。現在はDAZN(サッカー専門の動画配信サービス)を契約すれば、海外のサッカーが見られるわけで、J2の選手であってもメッシやロナウドと同じ土俵に立たないといけない。それだと正直、かなりきつい。J2や、さらにその下のクラブになるほど、スタジアムにお客さんがいて、みんなで試合をつくっていくことが重要になる。そうでないと価値は全然ないというのが正直な感想ですね。
――収益面での影響はどうでしょうか。FC琉球の場合、昨年の売上高に対する入場料収入比率は7%台なので、相対的にはダメージが少ないように見えます。
Jリーグの場合、入場料収入は平均でも2割程度なので、他のスポーツより瞬間的なダメージは少ない。ですが、それはパートナーやスポンサーに頼っているということ。マクロの経済状況により、広告宣伝費はカットされる可能性がある。特に沖縄の場合は観光業が主力なので、今回のような危機があると、スポーツにお金を出している場合ではなくなってしまう。そこは僕たちがコントロールできない領域です。僕らで頑張れる入場料やグッズ収入をしっかり育てていくクラブになる必要がある。
――沖縄経済の失速で、スポンサー収益が減少する可能性が高いということですか。影響はいつ頃から出そうですか。