プロスポーツ#3Photo:©YDB

プロ野球、サッカーJリーグ共に昨年は過去最高の観客数を記録し、絶好調だった日本のプロスポーツ界。だが、コロナ禍によって観客数が制限され、収益の柱である入場料収入が激減し、ほぼ全チームが赤字に転落する。有観客試合が再開しても、感染リスクによる応援のルール変更などで、以前のような熱狂が戻るのは早くても来シーズン以降になる。とはいえ、この危機は従来から課題となっていたスポーツビジネスのデジタル化を加速するチャンスでもある。特集『激震!コロナvsプロスポーツ』の(全12回)の#3では、コロナ禍で再開したプロスポーツの現在地を整理する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

入場料収入の激減でプロ野球もJリーグも赤字転落
有観客試合の再開後も客足は鈍い

 2019年のラグビーワールドカップ、20年の東京オリンピック・パラリンピック、21年の関西ワールドマスターズゲームズ――。スポーツ界にとって「奇跡の3年」(間野義之・早稲田大学スポーツ科学学術院教授)になるはずが一転、新型コロナウイルス感染拡大の影響により日本のプロスポーツが存亡の機にある。

 3カ月遅れでプロ野球が開幕して、Jリーグも再開したものの、当初は無観客試合を余儀なくされ、現在でも観客は5000人に限定されている。このところの新型コロナ感染者の急激な増加を受けて、8月1日に予定されていた制限緩和は見送られた。

 プロスポーツの収益源は「入場料」「スポンサー収入」「放映権」「グッズ販売」が4本柱。入場料収入は絶望的な状況で、観客減によりグッズ販売も落ち込めば、プロ野球、Jリーグ共に、大部分のチームが赤字転落は避けられない。実際、Jリーグが公開している資料を基に計算すると、入場料収入が半減した場合、J1、J2とも1チームを除いて営業赤字に転落する。

 プロ野球は収益構造を公表していないチームが多いが、ホーム試合数がJリーグの17に対して71と多い。売上高に占める入場料収入や球場でのグッズ収入がJリーグより多いため、一層観客減の影響が経営を直撃する。

 また、気になるのはプロ野球、Jリーグとも有観客試合開始後、一部の試合こそプラチナチケット化しているものの、「5000人限定」でも上限に達していない試合が目立つこと。梅雨時ということもあるが、感染リスクを懸念するファンや、自粛しているファンが多いのが現状だ。