ZTE系のスマートフォンメーカー、ヌビアテクノロジーが日本市場に向けて、初めて正式に投入したのが、ゲーミングスマートフォン「RedMagic 5」だ。非常に高い性能を誇り快適なゲームプレイに特化した端末だが、海外の公式サイトからのみの販売で、価格も628ドル(約6万6000円)からと円ではなく、購入しづらい印象がを受けるのも事実。

 では一体、RedMagic 5は日本のスマホゲーマーがどこまで満足して使える内容に仕上がっているのだろうか。実際に試してみたのでその内容をレポートしよう。

ノッチなし・フラットな画面でゲームにこだわり

 まず本体サイズを確認すると、ディスプレーサイズが6.65型で約78×168.56×9.75mm、重さは218gと、厚くて重いものの、サイズ感は一般的なハイエンドスマートフォンと大きく変わらない。

「RedMagic 5」の本体前面。前面からの見た目は通常のスマートフォンと大きく変わらない

 とはいえ、RedMagic 5はゲーミングスマートフォンということもあって、デザインは通常のスマートフォンとは大きく異なる。特に本体背面のデザインは、「REDMAGIC」のロゴが光るなどいかにもゲーマー向けといったデザインに仕上げられている。

本体背面は持ちやすさのためやや丸みを帯びている。デザインはいかにもゲーミング向けという印象だ
ゲーミングデバイスは欠かせない“光る”要素ももちろん備わっており、背面の「REDMAGIC」のロゴが光る。光り方や色は設定で変更可能だ

 もう1つ、ゲーミングにこだわっていると感じるのが前面のディスプレー部分だ。RedMagic 5はディスプレー素材に有機ELを採用し、指紋センサーをディスプレーに内蔵するなどの仕組みは備わっているが、側面がカーブしたデザインは採用しておらず、フロントカメラもノッチやパンチホールではなく、あえてベゼルを設けて設置している。

ディスプレーはフラットで、フロントカメラはノッチやパンチホールもないので上下のベゼルがやや太いが、これはゲームプレイ時に邪魔になる要素を排するためだ

 側面のカーブはデザイン的に見れば綺麗で持ちやすくもなるのだが、ゲームの操作には意外と不便という声を少なからず聞く。またノッチやパンチホールも、純粋なゲームプレイにこだわるなら邪魔な存在でしかない。ディスプレーの表示部分に余計なものを排除したRedMagic 5は、それだけゲームプレイにこだわって作られているのだ。

 同様に、スピーカーを本体底面だけでなく前面上部に用意しているというのもこだわりを感じさせるポイント。ステレオサウンドでゲームが楽しめるだけでなく、両手で持った時に右側(底面)のスピーカーを手でふさいでしまっても、前面のスピーカーで音を聴きながらプレイができるからだ。3.5mmのイヤホンジャックが備わっているという点も、遅延のないサウンドにこだわる人にはうれしい仕様といえるだろう。

本体上部には3.5mmのイヤホン端子も備わっているが、こちらもゲームプレイを阻害する音の遅延を避ける狙いが大きいと考えられる

性能は最高クラスでゲームもバリバリ動く

 ゲームプレイに対するこだわりは性能からも見て取ることができる。チップセットにはクアルコムの最新チップセット「Snapdragon 865」に加え、8GBまたは12GBのLPDDR5 RAM、128GBのUFS 3.0ストレージを搭載しており性能に強いこだわりを見せていることが分かる。

 試しに同等の性能を持つ「AQUOS R5G」とベンチマーク比較をしてみたのだが、結果としてはほぼ同等の数値を記録していた。ただAQUOS R5Gは値引きなしで約11万円(NTTドコモの場合)であることを考えると、それより4万円安く購入できるRedMagic 5のコストパフォーマンスは驚異的といえる。

RedMagic 5における「Geekbench 5」の結果
RedMagic 5における「3DMark」(Sling Shot Extreme)の結果
AQUOS R5Gにおける「Geekbench 5」の結果
AQUOS R5Gにおける「3DMark」(Sling Shot Extreme)の結果

 反応速度がものを言うゲームプレイでは、ディスプレーの描画やタッチの反応も重要な要素となってくる。この点もRedMagic 5は抜かりなく、ディスプレーのリフレッシュレートを最大144Hzにまでアップした滑らかな表示を実現するほか、タッチサンプリングレートも240Hzに向上させ、より正確な操作を実現。国内では144Hzのリフレッシュレートを実現した端末はまだ投入されていないだけに大きな優位点となるだろう。

 通信面に関しても、モバイルはデュアルSIM・5G対応、Wi-FiはWi-Fi 6に対応するなど非常に高い性能を持つ。5Gの対応周波数帯はn41とn78だが、国内ではn78を用いているドコモとauの5Gネットワークが利用できるかどうかはテストできていないので不明。

 またバッテリーも4500mAhと、長時間のゲームプレイにも対応できるかなりの大容量だ。付属のACアダプターを使えば18Wの高速充電も可能で、充電中は本体の冷却ファンが回って熱を抑える仕組みとなっている。

本体付属のACアダプターを使えば18Wの高速充電も可能だ

 もちろんこの冷却ファンは、ゲーム中に本体が熱くならないよう冷却するために備わっているもの。左側面に排熱口が用意されており、設定や、後述する「Game Space」でファンの制御変更も可能だ。

スマートフォンながら冷却ファンを内蔵しているというのも大きな特徴の1つ。本体左右の側面には排熱用のファンが用意されている
冷却ファンは設定で制御の設定変更も可能。本体が熱いと感じた時は「Fast cooling」に設定すればファンを最大速度で回し続けてくれる

こだわりのゲームプレイが可能になる「Game Space」

 そのこだわりのゲームプレイを実現するのが「Game Space」というモード。左側面上部にある赤いスイッチを入れるとこのモードが立ち上がり、ここからゲームを起動することで、通常のホーム画面にはないさまざまな機能が利用できるようになる。

本体左側面上部にある赤いスイッチを入れると「Game Space」が起動する
Game Spaceは、いわばゲーム専用のホーム画面。ここにゲームを登録して起動することで、ゲームに関するさまざまな機能の利用が可能になる

 実際Game Spaceからゲームを起動すると、ナビゲーションバーの代わりに専用のメニューが現れるようになる。ここからプレイの邪魔になる通話着信や通知をオフにしたり、冷却ファンやディスプレーのリフレッシュレートなどの制御ができるたりするのだが、他にもゲームプレイに関するさまざまな機能が用意されている。

Game Spaceではナビゲーションバーの代わりに専用のメニューを用いる。ここから通知やファンの制御などゲーム関連の設定が簡単に呼び出せる

 その1つは「Game Enhancement」で、これを使えばCPU・GPUのクロック数をアップしてパフォーマンスを向上させられるほか、カーゲームやFPS・TPS、MOBAなどゲームの種類に合わせたディスプレーのカラー設定も変更できる。

「Game Enhancement」の「Performance」ではCPU・GPUのクロック数を上げてゲーム中のパフォーマンスを上げることができる
「Show」ではゲームのジャンルに応じた表示の調整が可能。「Shoot」を選ぶと暗い場所にいる敵を見つけやすくするため、コントラストと輝度を上げるようだ

 もう1つ、特徴的な機能が「ショルダートリガーボタン」である。これはゲームコントローラーの「L」「R」ボタンに相当する機能を実現するもので、本体を横にして持った際、上部に配置される2つのセンサーに触れることで、画面の特定の箇所をタップしたのと同じ操作を実現できるようになる。

本体を横にした状態で、上部側面に配置される2つのセンサーが「ショルダートリガーボタン」。ここに触れることでディスプレーの特定の場所をタップしたのと同じ操作が可能になる

 設定方法は非常に簡単で、Game Spaceのメニューから「Shoulder Trigger」を選んでオンの状態にした後、「L」「R」のボタンを画面上の好きな場所に配置するだけでよい。ゲーム中、よく使うボタンに割り当てればプレイを快適にできる。

設定は「L」「R」を画面上の好きな位置にドラッグして配置するだけと、非常に簡単だ
「Call of Duty Mobile」でショルダートリガーを試してみたところ。スマートフォンの持ち方などである程度慣れが必要だと感じたが、上手く活用すれば同時に複数の操作ができるので非常に便利だ

 他にも、特定の操作を何度も繰り返しできる「Macro」や、画面中央に独自の照準を表示する、FPSなどの的合わせに便利な「Aiming assist」など、ゲームプレイを便利にする多彩な機能の利用が可能だ。ただしスマートフォンのオンライン対戦ゲームの場合、こうした機能を使うことがハードウェアチートとしてみなされてしまう可能性もあるため、利用の際には注意が必要なことも覚えておきたい。

日本語のローカライズやカメラには不満が残る

 充実したゲーム機能の一方で、気になるのが通常のスマートフォンとしての機能だ。RedMagic 5はAndroid 10をベースとした「RedMagic OS 3.0」を搭載しているのだが、かなりの部分で日本語化がされていないのだ。

 特に最初のセットアップ時に表示される規約が、すべて英語という点にはかなり面食らう人が多いのではないだろうか。設定の多くの項目も日本語化されておらず、Androidスマートフォンに慣れていない人は使いこなすのがかなり難しいと感じてしまう。

セットアップの最初に現れる規約の画面。すべて英語なので日本人には厳しい
設定画面を呼び出したところ。かなりの部分が日本語化されておらず、英語表記のままとなっている

 また、カメラもかなり癖があると感じた機能の1つだ。RedMagic 5はメインカメラが6400万画素/F値1.8の標準カメラと800万画素/F値2.2の超広角カメラ、200万画素/F値2.4のマクロカメラの3眼構造、フロントカメラは800万画素の単眼構造で、メインカメラは8Kまでの動画撮影にも対応しているのだが、問題はその使い方だ。

メインカメラは6400万画素・800万画素・200万画素のトリプルカメラと、最近の中国製ミドルクラスのスマートフォンに増えている構成だ
標準カメラで撮影した写真
超広角カメラで撮影した写真。F値が低いので曇天時は暗めとなる
デジタルズームは最大10倍まで対応。標準カメラの画素数が高いので、10倍ズームでも悪くない映りだ
マクロカメラによる撮影も可能。200万画素と画素数は低くなるので注意

 というのもカメラアプリのメニューがすべて英語というだけでなく、通常の写真撮影に用いる「PHOTO」モードでは、基本的に標準カメラでしか撮影ができないのだ。他のカメラを利用する場合、超広角カメラであれば「PRO」モード、マクロカメラであれば「CAMERA-FAMILY」から「Macro」に切り替える必要がある。AIによって被写体を判別し、カメラモードを切り替える仕組みは用意されているのだが、特に超広角カメラへの切り替えがPROモードからしかできないのはかなり不便だと感じてしまう。

カメラアプリ標準の「PHOTO」モードで撮影する際は、基本的に標準カメラによる撮影しかできない
超広角カメラに切り替えて撮影するには、「PRO」モードに切り替えた上で、さらに超広角カメラに切り替える必要がある

【まとめ】スマホ上級者向けだが
ゲーム専用機としてならアリ

 改めて振り返ると、RedMagic 5は快適なゲームプレイにとても力が注がれていることが分かる。加えてもっとも高いメモリー12GBのモデルでも649ドル(約6万8000円)と、5G対応のハイエンドスマートフォンとしてはかなり安価というのも魅力だ。

 だが日常的に利用するスマートフォンとしては改善が必要な部分が多く、中でも日本語のローカライズがかなり不足しているというのは正直厳しいと言わざるを得ない。購入手段なども考慮するとかなりターゲットを選ぶ、スマートフォン上級者向けであることは間違いないのだが、スマートフォンに詳しい人がAAAクラスのゲームプレイにこだわる、専用機として利用するなら価値はあるだろう。

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