コロナ禍でリモートワークが常態化しつつある中、
より効率的かつ効果的な仕事の仕方が求められている。
そのようななか、「段取り」というビジネススキルに注目が集まっている。
そこで、『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』の著者であり
「くまモン」や「相鉄」など多くのプロジェクトを手がける
クリエイティブディレクター・水野学さんに、
リモートワークをきっかけにして、あらゆる仕事を劇的に改善させる方法について伺った。
(段取りの有用性については、第1回の記事を参照ください)
<構成:ダイヤモンド社・和田史子>
コンビニのアルバイトのほうが
オフィスワーカーより仕事をしている
――前回は、リモートワークにおいての段取りの重要性と、時間内に仕事を終わらせるコツについて伺いました。
思い返せば、リモートワークではないときも、同じやり方を推奨していたはずなのに、私たちはついダラダラと仕事をしてしまっていたのかもしれません。反省…。
水野学(以下、水野) それは個人のせいではなく、環境がそうだったからかもしれません。
これまで会社に出社して働いている人たちの仕事には、「見えない部分」がいっぱいあったのだと思うのです。
それは別に遊んでいるとか、ネットサーフィンしているとか、明らかにサボっている行為ではなく、なんら悪気なくちょっとダラダラ仕事をしてしまっているといった程度の、社内にいるからこそ生じる緊張感のなさみたいなことが、あり得ると思うのです。
――見られていたようで、見られていなかった。たしかにそうだったのかもしれません。
水野 たとえば、コンビニでアルバイトをしている人を例にあげてみましょう。
バックヤードで休憩する時間があったとしても、表で仕事をしているとき、レジを打ったり品出しをしていたりするときは、サボってないわけですよね、基本的に。
ところがオフィスワーカーになると、8時間ぐらい会社にいなきゃいけないし、自身も周囲の人たちも何かやっているのか、やってないのかさえわからない、あるいはわかりにくい状況だったと思うのです。ずっとバックヤードにいるような状態であれば、生産性が高いといえない働き方をしてもよくなってしまうのです。
だから、学生時代のアルバイトのほうが、3時間とか4時間だったかもしれないけれど、決められた時間をちゃんと働いていたかもしれません。
――たしかにそうですね。全員が今日やる仕事を全員に公開するようになり、グッドデザインカンパニーでは、仕事の質が劇的に変わり、残業も大きく減ったそうですが、リモートワークを経て、社内の会議なども変わりましたか?
水野 会議に限らず、あらゆる仕事が、リモートワークによって見えるようになりました。このことで、コミュニケーションのストレスも減ったように感じます。