人は「暇」があると不安になりやすい
もちぎ:もしかすると、多くの人たちって“人生の説明書”を読むことに熱心というか、“人生がうまくいくこと”にこだわりすぎなんじゃないかと思うんです。その点、自分は「説明書」というものを読まない人間なんですよ(笑)。自転車の例でいうと、こぎ方をYouTubeでいくら観て勉強しても、結局は自分でこいでみないと感覚がつかめないですよね。
精神科医Tomy:たしかにそうかもしれません。いい意味で雑な部分がないと、不安が大きくなっちゃうんですね。「不安障害」という精神的な病を抱えている人は、全般的にきちんとしていないとダメな傾向があるんです。
不安障害にもいろいろありますが「強迫性障害」の場合、鍵かけとか元栓が閉まっているかどうかを何度も確認しないと気になって仕方がなくなる。あるいはクルマを運転するときに、「誰かをはねたんじゃないか」と心配になって、クルマから降りてまわりを確認したくなっちゃう、みたいなことです。
もちぎ:なるほど。
精神科医Tomy:不安になるときって、わりと時間に余裕があるときなんです。何かをじっと考える「暇」ができると不安になってくるんですよ。実はボクも若いときは、ある程度時間に余裕があるから不安になっていたんです。今は診察もあるし、本も書いてるし、いろいろやっていると時間が過ぎていくので、あまり不安に感じなくなりました。
もちぎ:確かに時間に余裕があると、ネガティブなことを考えてしまいがちです。子どもの頃、夏休みで時間があったときに、「親が死んだら」「自分が死んだら」どうなるか、みたいなことを考えたことがありました。大人になった今は、いろいろやることが増えたので、漠然と将来の不安を考えるよりも、今日とか明日に目を向けることが多いですね。
精神科医Tomy:目をリフレッシュするときは、遠くのものを眺めたほうがいいんですけど、少しラクに生きたいときには目先のことだけ見ている状態のほうがいいと思うんです。