『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』などのベストセラーで知られる精神科医・作家の樺沢紫苑さん。
現在、著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』が人気沸騰中の精神科医Tomyさん。

ふたりは精神科医でありながら、Twitter、Facebook、YouTube、ブログなどを通じて、人生のアドバイスを発信し、多くの読者を獲得しているという共通点を持つ。

今回は、そんなふたりが、SNSによる情報発信を始めたワケ、アドバイスをするときのスタンス、そして読者から寄せられたお悩みにも直接回答!
濃密なスペシャル対談をお届けする。

Q.管理職を辞めたいです……

私は看護師で、3年前から管理職をしています。人前で話すのが苦手なのですが、管理職になってから、なにかと人前で話すことが多くなりました。スタッフの人間関係や仕事の細かいところに気を配ることにも疲れてきました。
これまで2回ほど管理職を辞めたいと言いましたが、私の決意も甘かったからか、辞めないように説得されて終わりました。私の希望は今の部署でヒラの看護師になることです。そう上司を説得するのは、会社を辞める覚悟で行かないと難しい気もしています。長い間、働いてきた職場なので、これから違う会社で働く気持ちにはなれません。
管理職を辞めたい、でも職場を離れるのはイヤ、というのは甘い考えでしょうか?

◎樺沢先生の回答

精神科医 樺沢紫苑×Tomyのお悩み相談!「自分は管理職に向いていない」と思っているあなたへ

私のアドバイスは、「3ヵ月後の日にちを記し、その日に出すと決めた辞表を書く」ということです。そこからの3ヵ月を「仕事を辞める」という前提で過ごしてみる。そして、辞表を出す前日にもう一度、自分の気持ちを確かめてみるのです。

「ずっと管理職をやらなければならない」と思うと、ネガティブな要素ばかりが気になります。でも、いったん仕事を辞めると腹をくくれば、「管理職の仕事はイヤだけど、そこそこ満足な給料もらえていたな」とか「○○さんのサポートに助けられていたな」みたいな、ポジティブな部分が見えてくるようになります。退職した人が「ああ、前の職場は結構よかったな」と後悔することが結構ありますが、その後悔を先どりするわけですね。

いったん好きとか嫌いといった気持ちを外して、3ヵ月だけニュートラルな気持ちになって自分の職場をあらためて観察してみる。そのうえで、「やっぱり無理だ」と思うなら辞める覚悟で上司に管理職辞退を申し入れればいいし、何らかのメリットを感じられたら継続するという判断をしてもいい。どっちに転んでも、今の職場におけるポジティブな部分は見えると思います。

大切なのは「中間」を見ること。相談者は「辞めるか、辞めないか」の二者択一に追い詰められて、“0か100か思考”に陥っています。こういうときこそ、ニュートラルな気持ちで、冷静にメリットとデメリットを考えてみれば、本人にとって適切な判断ができるのではないでしょうか。そのときも、きちんと書き出してみるといいです。

◎Tomy先生の回答

精神科医 樺沢紫苑×Tomyのお悩み相談!「自分は管理職に向いていない」と思っているあなたへ

僕はこの相談者が何を相談したいのか、何に困っているのかが、ちょっと曖昧な印象を受けました。「管理職を辞めたいです」という内容が、「辞めたい気持ちを聞いて欲しい」のか、あるいは「本当に辞める方法を知りたい」のかによって、有効なアドバイスは違ってきます。

おそらく相談者ご自身もそのあたりがハッキリしていないのではないかと思うので、まずは自分自身で確認する作業をしていただくことをおすすめします。その結果、「自分の大変な状況をわかってほしい」だけだとしたら、親しい友人や家族に話すことでスッキリするかもしれませんし、「やっぱり管理職を辞めたい」のなら、それをそのまま伝える方向に動く。

あるいは相談者がおっしゃっているように、「管理職を辞めたい」という気持ちを思い切ってストレートに上司にぶつけて相談してみるのもアリです。僕も人を雇う立場に立ったことがあるからわかりますが、働いている人が「自分の気持ちを察してほしい」と思っていても、上司はけっこう察することができないんですね。

いざ辞表を受け取る段階になってから、「もっと早めに言ってくれれば改善できたのに」となるケースも多々あるので、ちゃんと口に出して相談することも大切だと思います。

【次回へ続く】