2. 持続的競合優位性
(ディフェンシビリティ)が高まる

 独自の価値提案に基づいたMVVがあると、商品やサービスに対する持続的競合優位性(Defensibility:ディフェンシビリティ)が高まる。機能的なプロダクト、あるいは最先端のテクノロジーの詰まったプロダクトは、徹底的に分析すればコピーできてしまうが、経営者らCXOがこれまで築き上げてきたストーリーをもとにしたMVV、それに立脚したプロダクトは、簡単にはコピーされない(下図)。

ミッション、ビジョン、バリューは実務において最強の武器になる【前編】

 なぜなら、MVVとは経営者の生き様や、こだわり、フィロソフィーが色濃く反映されているものであり、その同じ年月と熱量をかけなければコピーできないからだ。

 アップル製品は、技術面だけを見ればコピーできるかもしれないが、1976年に産声を上げて以降、44年間培ってきた「Challenging the status quo」(=現状に挑戦し続ける)というミッションはコピーできない。これは、次の「戦略」のCHAPTER2でも解説するが、独自のMVVは、その企業独自の「ストーリー」の構築につながり、中長期的に見て持続的競合優位性をもたらすのだ。