100万人に1人の人材になるには

:結局、人と異なる経験があることが価値なんです。周りの99人が理系エンジニアだとしたら、たった1人の文系エンジニアというだけでも十分に価値があるのです。

三輪:その話を聞くと、僕の恩師でもある教育改革家の藤原和博先生からの学びを思い出します。藤原先生は「100万人に1人の人材になるには、100人に1人になれるものを3つ探して掛けあわせろ」とよくおっしゃっていました。

:僕もその話を先日聞いて、なるほどと思いました。100万人に1人って、オリンピックで金メダルを取る人と同じ確率なのだそうです。専門性や特異性が、2つではなくて、3つ必要だという考え方も面白いですよね。

 僕も100分の1である特徴がいくつかあります。まずは、長髪であること(笑)。そしてプレゼンテーションが得意なこと。セキュリティ技術に詳しいということも、実はプレゼン力の向上に役立ちました。

「自己中」なあなたの物語が聞き手の心を揺さぶる

三輪:セキュリティ技術に詳しいことが、プレゼン力の向上につながったんですか?

:セキュリティ技術で大事な視点は、「相手の知らないことを知る」ということ。例えば三輪さんがの実家には、何ヵ所侵入口があわるか分かりますか。

三輪:分かりません(笑)。でも空き巣泥棒なら侵入口が何ヵ所あるかはきっと知っていますし、セキュリティ技術のプロはそれを踏まえて対策をしますよね。

:その通りです。要するに「人が知らないことを知っている」「他の人が経験していないことを経験している」というだけで立派な価値なんです。だからこそ、僕はみんなに、もっと「自己中」になっていいって伝えているんです。