金融機関が販売手数料目当てで顧客に仕向ける「回転売買」をやめさせようと、監督官庁である金融庁が規制に乗り出すという。政策の方向性は適切で大いに評価したいが、筆者は3つの理由で賛成しない。そして、その最大の理由は、「回転売買規制よりも圧倒的ににいい方法」があるからだ。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
手数料目当ての「回転売買」を
金融庁が規制へ
金融庁は、金融機関による販売手数料目当ての回転売買を規制するよう監督指針に明記するという。近く意見公募を実施し、2020年中にも改正すると報じられている(「日本経済新聞」9月23日)。
ご存じでない方も語感から想像できるだろうが、「回転売買」とは金融商品を短い保有期間で「売って、買う」行為を指す。多くの場合、販売手数料を稼ぎたい立場にある金融機関の営業担当者が顧客である投資家を勧誘することによって行われるので、主に販売側が問題視される。
売買の対象は、高い固定手数料が適用されていた1990年代までは主に株式だったが、株式の手数料が下がると主に投資信託に移った。さらに、昨年大問題になったかんぽ生命保険のケースのように、保険で解約と新規契約の「回転」が行われる場合もある。また、案外話題になりにくいが、債券価格と外国為替の両方で手数料を稼ぐことができる外国債券の回転売買は、証券会社にとって有力な手数料稼ぎの手段だ。