ゼネコンの呪縛#12Photo:123RF

公共工事を後押しした国土強靭化3カ年緊急対策が今年度で終了するが、自民党国土強靭化推進本部は来年度以降も延長するよう求めることを決議した。そこで、スガノミクスで「浮かぶゼネコン・建設会社」のランキングを作成。特集『ゼネコンの呪縛』(全20回)の#12では、九州・沖縄地方の会社をランキングした。(ダイヤモンド編集部 臼井真粧美、松野友美)

九州・沖縄7県は公共工事4割超
与党が公共工事に予算を付ける動き

 九州・沖縄地方の8県のうち、福岡県を除く7県は公共機関が発注する公共工事の比率が4割を超えて全国平均より高い。

 2019年度の全国の建設工事出来高は約53兆円。建設工事は公共工事と民間が発注する民間工事に大別され、約53兆円のうち公共工事が40.7%、民間工事が59.3%となっている。

 前述した九州・沖縄地方の7県は長崎県、沖縄県、大分県、鹿児島県、佐賀県、熊本県、宮崎県の順で公共工事比率が全国平均より高い(下表参照)。福岡県のように大都市圏の中心市を含む県は民間工事が多く、公共工事比率が低くなりやすい。

 

 全国で見ると、民間投資による建設工事は近年、東京五輪・パラリンピックを背景にした都心の再開発などで大膨張した。その建設ラッシュが落ち着いて工事量が踊り場に立ったタイミングでコロナ禍に見舞われ、民間工事量は下降局面に入った。

 公共工事では、大規模な自然災害などに対応するための公共投資を後押しする国土強靭化3カ年緊急対策が20年度で期限を迎える。総事業費約7兆円の3カ年緊急対策が終われば、公共工事量も減り、ゼネコン・建設業界は冬の時代を迎えることになる。

 しかし、公共工事においては、政治が動いていた。与党は緊急対策の予算規模拡大と期間延長を唱え、公共工事に予算を付けようとしている。

 景気が悪くなれば民間工事が減り、政治が働いて公共工事の予算が付く。それによってゼネコン・建設業界は過去、食いつないできた。ただし、民間工事が多い会社か、公共工事が多い会社かによって、企業の明暗は分かれることになる。