リニア中央新幹線の建設工事を巡る大手ゼネコン4社による入札談合事件で、鹿島と大成建設の独占禁止法違反を問う裁判が9月に全ての審理を終えた。特集『ゼネコンの呪縛』(全20回)の#13では、裁判の経緯や争点を整理する。また、裁判傍聴や関係者への取材を通して見えた、無罪を主張した鹿島と大成の意外な温度差についてレポートする。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
裁判は“大暴露大会”になった
大口顧客のJR東海に恨み節
リニア中央新幹線の品川駅と名古屋駅の建設における鹿島と大成建設の独占禁止法違反を問う裁判の最終審理が9月9日に行われた。19年2月に始まった公判は、気付けば36回目を迎えていた。
大林組、鹿島、大成、清水建設の大手ゼネコン4社が入札談合を問われ、大林組と清水は先に罪を認めて有罪が確定した。鹿島と大成はこの裁判で無罪を主張してきた。
法廷は“大暴露大会”となった(特集『リニア談合 暴露裁判』参照)。証人として出廷したゼネコン関係者は、東海旅客鉄道(JR東海)の発注方法や発注金額の厳しさに恨み言を並べた。JR東海は大切な大口顧客であるにもかかわらずだ。
しかし、裁判を傍聴していると、あることに気付く。それは無罪を主張する両社の間の温度差。JR東海に対する両社の温度差である。