地方エリートの没落 地銀・地方紙・百貨店#11
Photo:kyodonews

九州では地場百貨店の地盤沈下が進む一方、“走る総合不動産”であるJR九州の商業施設「アミュプラザ」が大躍進中。駅上の巨大商業施設で買い物客を吸い上げ、北九州では井筒屋を、鹿児島では山形屋を蹴散らして九州各地で猛威を振るっている。特集『地方エリートの没落 地銀・地方紙・百貨店』(全13回)の#11では、躍進を続けるJR九州「アミュプラザ」について取り上げる。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

買い物客を駅上に吸い上げるJR
窮地に立つ九州の地場百貨店

 北九州市の井筒屋が売上高587億円、熊本市の鶴屋百貨店は532億円、鹿児島市の山形屋は421億円(いずれも2020年2月)と、九州の地場百貨店の多くは、大手以外では全国屈指の規模を誇っている。

 もちろん、郊外のショッピングセンターなどに需要を奪われ、かつてと比べれば売上高は落ち込んでいる。日本百貨店協会によると、19年度の九州地区の百貨店売上高は4455億円で、6952億円だった03年度に比べて約36%も減少した。

 3月以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響で臨時休業を迫られるなどしたため、売上高の落ち込みはさらに厳しいものとなるだろう。ただし彼らはコロナ禍の前から、より深刻な脅威にさらされてきた。“走る総合不動産”こと、JR九州だ。

 同社が九州内主要駅の上に開発する商業施設「アミュプラザ」は絶好調で、現在、博多、小倉、長崎、大分、鹿児島中央の五つの駅で営業。こうした商業施設全体の売上高(20年3月期)は2026億円に達する。

 さらに今年11月には宮崎駅、21年春には熊本駅と立て続けにオープンする予定で、今後は、佐賀県を除く九州全県で、地場百貨店とアミュプラザの戦いが繰り広げられる。

 地域経済に詳しい神戸国際大学の中村智彦教授は、JR九州の狙いについて「東京や大阪などの都心は、通勤通学で電車を使うため、当然駅ビルは強いし、すでに発達してきた。九州内の中堅都市は、車中心の社会だが、鉄道もある程度需要がある。若い人を中心に駅に集まってくるため、そこを開拓していこうとしている」と説明する。

 札幌市や名古屋市でも、JR札幌駅やJR名古屋駅に駅直結の百貨店やショッピングセンターが開業して人気を博し、古くからの繁華街にあった百貨店が閉店や再編に追い込まれた経緯がある。