群馬の野武士#3
Photo by Rumi Souma

コロナ禍で絶不調の百貨店から、ついに出店要請も受け始めたというワークマン。しかし、「家賃が高い」と百貨店をも袖にする強気の姿勢だ。躍進を続けるワークマンは、実はカインズの物まねで成長してきた。特集『ワークマンを生んだ群馬の野武士』(全7回)の#3では、兄弟会社の取り組みから、ワークマンの次の一手を予想する。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

ついに百貨店から出店オファー
ワークマン快進撃の裏にカインズの「パクリ」

「コロナ禍以降は、百貨店からも出店依頼が来るようになった」――。

 こう打ち明けるのは、ワークマンの小濱英之社長だ。「高機能・低価格」をうたう一般向け衣料品業態「ワークマンプラス」でアパレル業界に旋風を巻き起こしたワークマンに、ジリ貧の百貨店がついに声を掛け始めた。

 コロナ禍で苦しいとはいえ、高くても4900円という価格帯のワークマンをテナント候補にすることから、ブランド力とてんびんにかけてもその集客効果に期待せざるを得ない百貨店の苦悩が伝わってくる。

 しかし、実際にワークマンに出店してもらうまでのハードルは高そうだ。

「うちの条件を出すと『そんなに(家賃が)安いのか』とびっくりされる。もともとワークマンの原価率は高いので、家賃が高いと条件が合わない。安く作って安く売るのがワークマン。PB(プライベートブランド)だからといって、安く作って高く売る考えはない。(百貨店から高い賃料で入居の)話をもらっても駄目になる」と小濱社長はけんもほろろだ。

 コロナ禍にもかかわらず、4月以降の既存店売上高の月次が一度も前年同月比で100%を下回ったことがないワークマン。10月の既存店売上高も同134.5%と絶好調だ。

 ただ、ワークマンの2020年9月末時点の在庫高は173億円となり、前年同期比から32.9%増加。これに対し、売上高は12.6%増だったことから、在庫効率は悪化している。

 飛ぶ鳥を落とす勢いのワークマンは、群馬の衣料品店いせやに端を発するベイシアグループの一員だ。1980年にいせやからののれん分けの形で生まれた作業服の店が発祥で、82年にスピンオフしてワークマンが誕生した。

 今や作業服業界でシェアナンバーワン。2010年にPBの販売を始め、18年に新業態のワークマンプラスを開業して一般消費者への認知度を急速に高めている。

 そして近年躍進を続けるワークマンの一般消費者向けへの取り組みに多大な影響を与えているのは、実は兄弟会社のカインズだ。職人が先輩の技を目で盗むように、カインズが知らないうちに、ワークマンはそのノウハウをこっそり“パクって”いるのである。