群馬の野武士#2写真提供:ベイシア

ベイシアグループの始まりは群馬県伊勢崎市の衣料小売店「いせや」だ。特集『ワークマンを生んだ群馬の野武士』(全7回)の#2では、創業者である土屋嘉雄氏が1代で築き上げたベイシアグループの6つの「規格外」な数字から、ワークマンやカインズの成長の源泉を読み解く。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

バラバラ経営のベイシアグループ
“平凡でない”企業の6つの規格外

 2018年に一般客向けの新業態「ワークマンプラス」が大ブレークしたことで株価が急騰した作業服チェーン大手のワークマン。新型コロナウイルス感染拡大によるアパレル不況をものともせず、今や時価総額はZOZOに肉薄する勢いである。

 このワークマンを擁するベイシアグループは、本特集の#1『ワークマンを擁するベイシアグループ「兄弟会社ばらばら経営で1兆円」の秘密』で述べたように、ホームセンター業界最大手のカインズや、北関東の中堅生鮮スーパーマーケットのベイシア、ワークマンの3社を中核としつつも、“グループが一丸となって”成長しようとしたことは一度もない。

「(米)アマゾン(・ドット・コム)がリアルの小売業を手掛けたり、物流業と小売業の境目がなくなったりするように、ビジネスの世界でさまざまな境界線が消え始めた。従来は『総取り』が小売業の発想だったが、その必要はもはやない。得意なことに特化する企業体でいい」と、グループの長であるカインズの土屋裕雅会長は話す。個々の企業がそれぞれの市場のパイを奪い合うよりも、“平凡から脱却すること”を追い求めているのだ。

 とはいえ、いまひとつあか抜けないベイシアグループ。彼らの「規格外」な数字から成長の源泉を追ってみよう。