群馬の野武士#7
Photo by Nanako Ito

グループ内競合も当たり前。ベイシアグループが企業ごとに最適化を図り成長してきたのは、創業者の土屋嘉雄氏の求心力によるものだった。そして今、代替わりの時期が到来。昨年カインズとワークマンの会長から嘉雄氏が退き、息子の裕雅氏が後継者として君臨することになった。特集『ワークマンを生んだ群馬の野武士』(全7回)の最終回では、新たなグループ経営の姿を裕雅氏が語り切る。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

持ち株会社がないのは
グループ間で意図的に競争させるため

――衣料品のワークマンやホームセンターのカインズ、生鮮スーパーマーケットのベイシアなどを擁するベイシアグループは、同じグループであることをあまり前面に押し出していません。互いの知名度を利用すればグループシナジーを出すこともできるはず。グループシナジーを出そうと思っていないのでしょうか。それともわざとそうしているのですか。

 半々ですね。それぞれが個性を尖らせていたという要素もありますし、業態が別でも同じような商品を扱うことはある。ワーキングウエア(作業服)というカテゴリーがカインズにはありますが、言ってしまえばワークマンの競合になります。

 また、共同出店でシナジーが出るかといえば、カインズは全国展開しているため、群馬が拠点のベイシアには遠い場所もある。そのときは無理に出店しなくてもいい。だからカインズはグループ外のスーパーマーケットと組むこともあります。

――そういうこともあるのですか。

 よくあります。ついこの間オープンしたカインズの新店はベルク(本社・埼玉)と出店していますし、ロピア(本社・神奈川)と出店したこともあります。ベイシアにとって効率が悪い場所なのに、グループ企業だからそこに出店しなきゃいけないというのはおかしな話です。

――グループを束ねる持ち株会社はないのですか。

 グループ企業と資本関係のある会社はありますが、グループ全体をまとめる機能は特にないですね。グループ間で意図的に競争させるためと、本来の競合である同業他社との戦いをそれぞれに任せるためという二つの理由があります。

 ただ、まとめた方が効果的ならば、その機能も必要なのではないかと最近は思っています。今までは業態ごとに競争があったので、グループ内の事業ポートフォリオを決めなくてもよかった。でも現在、今後のことを見据えると、作戦を立てて引っ張っていくような会社機能は必要だと思うんです。