貸借対照表は決算日のスナップショット

林教授 賃借対照表はお金の流れを表しているのではない。ある時点のスナップショットにすぎないんだ。

カノン スマホで写した川の写真のようなものですか?

林教授 そう。会社には常にお金が川の水のように流れている。この状態を表わしたのがこの水路の図だ。「ビジネスプロセス」に投入されたお金で商品を買い、家賃を前払いし、従業員の給料を支払う。そして、商品を顧客に売って、代金を回収し、そのお金で次の商品や給与の支払いなどに充てる。ビジネスプロセスには、こうしてお金が水路をぐるぐる循環しているんだ。

カノン さっき聞きましたけど……。

林教授 今の説明はお金の流れを動画として見た場合だ。だが、貸借対照表が表現しているのはお金の流れではなく、お金が姿を変えた商品であり売掛金だ。つまり、決算日のお金の状態を写したスナップショット(静止画)なのだ。

カノン ちょっとわかりません。先ほどの説明ではビジネスプロセスでは、たえずお金が商品になり、商品が売掛金へと姿を変えていきますよね。つまり、商品であろうと売掛金であろうと、その実態はお金ということですか?

林教授 そういうことだ。商売の流れの中で、お金は次々と形を変えていく。こうして日々刻々と変化する瞬間の姿が商品であり売掛金なのだ。