「こんまりメソッドの心版」
川原:佐渡島さんのプロデュースの定義に深く共感します。「何者かになろう」「焦って何かを身につけよう」と、自分の外側に答えを発見しようとして、うまくいかない人は多いですよね。
けれど近藤麻理恵をはじめ、世界の舞台で活躍する人を間近で観察していると、彼ら彼女らが大事にしているのは、外側への意識ではありません。自分の“内側”に向けた意識なんです。つまり、自分の中にあるものをどう生かしていくか。
外側を追いかけるばかりだと、いつまでも焦りや不安は消えないし、特に人と直接会いづらくなった今の状況では、余計に一人で抱え込んで、悩んでしまう。
だからこそ、『Be Yourself』の中では、僕が見てきた事例や実践してきたノウハウを紹介しながら、「あなた自身になろう」というメッセージを伝えています。
佐渡島:片づけにおける「こんまりメソッド」というのは、持ち物に一つひとつ向き合って、“ときめくかどうか”の観点で手放すか、残すかの選択をしていく手法です。
一方で、川原さんが提唱する「Be Yourself」は、モノではなく、人の心の内面を“ときめくかどうか”の観点で見つめ直して、本当に大切にしたい自分自身を取り戻していくこと。「こんまりメソッドの心版」だと僕は理解しました。
川原:ズバリその通りです。10年前に麻理恵さんが書いた『人生がときめく片づけの魔法』は世界中で翻訳され、現在1200万部のベストセラーになりました。この結果は一重に、出版エージェントの方々が頑張ってくださったおかげなのですが、正直に話すと、最初は「片づけは海外で求められるのか?」と半信半疑でした。
普通、アメリカみたいに広い国に住む人は、モノを片づける必要がないと思いませんか。ところが、蓋を開けてみると、ものすごい反響だった。
読んでくださったみなさんには、日本の読者と同じように「片づけで本当の自分を取り戻せた」と喜んでいました。「この本の本質は、単なる片づけではない。自分の人生に向き合うことだ」とあらためて強く認識し、発信の仕方や表現の方法をさらに研ぎ澄ませていった。その延長に、Netflixの番組化もあったというわけなんです。