損害保険業界にとっての20年は、コロナ禍の影響は軽微だったものの、存在意義が問われた1年でもあった。21年は各社とも明るい展望を描く。その鍵はここ数年買収してきた海外子会社にあるようだ。特集『総予測2021』(全79回)の#24では、損害保険業界の21年を予測する。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
新型コロナで問われた
損保の存在意義
損害保険業界にとっての2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大によって存在意義が問われた一方、業績には追い風が吹いた年となった。
コロナ禍で本格的な外出自粛が広がった3月以降、外食や小売り、旅行業界は苦境に陥り、休業を余儀なくされた店舗が続出。また、コンサートなどの興行も次々と中止され、4月の緊急事態宣言へとつながっていった。
本来であれば、こうした“有事”のときこそ、損保会社が活躍する場面だ。予期せぬ災害や事故による損失を補償するのが、損保の役割だからだ。
ところが、損保各社の存在感はほとんど感じられなかった。一体どういうことか。