国内4000人削減の真相

「国内首位」の旗を降ろし
4000人の人員削減

損保ジャパン日本興亜
 最終利益重視に向けて営業方針を大きく転換した損保ジャパン日本興亜 Photo by Masaki Nakamura

 損害保険大手の損保ジャパン日本興亜が、国内営業の大改革に乗り出している。

 同社はこれまで、トップライン(収入保険料、単体)で国内首位という旗を振り続けてきたが、その旗をついに降ろし、コスト低減や損害率の改善などによるボトムライン(最終利益)重視に、組織運営の軸足を大きく移そうとしているのだ。

 2019年度は、各営業部署が自ら目標額を決める「自主予算」とし、経営陣が予算設定を通じて各部署に課してきた、事実上のノルマをいったん廃止。部署ごとの評価についても、自主予算化を踏まえて、予算達成率の評価上の比重を大きく下げる方針だ。

 その一方で、契約の見直しによる損害率の改善といった利益への貢献度や、人材育成への取り組みなどに重きを置く評価体系に思い切って改める。

 複数の代理店関係者によると、損保ジャパンは19年度に、成長が見込める「サイバー保険」などの新種保険分野で、増収率見通しを0%としているという。

 同社のこれまでの営業スタンスからすれば、成長分野での横ばい見通しは異例のことであり、トップライン競争からまさに離脱しようとしている姿が浮かび上がる。

 各営業部署には5月に同方針を伝えており、7月までに今年度の自主予算を策定して、承認を受けるよう指示している。

 ただ、部署によっては「トップラインは引き続き伸ばせ」という指示が、依然として飛ぶなどやや混乱も見られるようだ。

 経営陣の突然の方針転換に、現場が戸惑い、混乱するのも無理はない。

 これまで損保ジャパンは、「T号作戦」なとど銘打って、競合する東京海上日動火災保険をターゲットに、契約を自社に乗り換えさせる営業を大手企業に徹底的にかけるなど、「トップライン至上主義」を組織のDNAとして深く浸透させてきたからだ。

 特にここ2~3年は、他社の7割や8割の水準といった安い保険料を提示して乗り換えを迫るような営業が目立ち、顧客企業の方から「あんな安値で本当に大丈夫なんですかね」と心配する声が、たびたび上がるほどだった。

 それほどまでに同社がこだわり、掲げ続けてきたトップライン首位の旗をなぜ今降ろすのか。要因は大きく二つに分けられる。