慶應三田会vs早稲田稲門会#14
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同じ慶應義塾大学のOBであっても、見えないヒエラルキーがある。一目置かれるのは“慶應純度100%”の幼稚舎出身者だ。高額な費用をかけてまで、なぜ幼稚舎を目指すのか。幼稚舎に入る定番ルートは何か。特集『慶應三田会vs早稲田稲門会』(全16回)の#14では、幼稚舎の実態に迫る。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

倍率10倍超えの超難関小学校
慶應幼稚舎のお受験対策に月30万円!?

「幼稚舎の合格は、『親力・財力・子供力』が全てそろわないと勝ち取れない」――。

 そう話すのは、吉岡美由紀さん(仮名)だ。数年前に小学校受験で慶應義塾幼稚舎に合格した息子を持つ母親である。

 幼稚舎は慶應義塾系列の小学校だ。男子96人、女子48人(2021年度定員)という狭き門に、1500人超の受験生が押し寄せる最難関小学校として知られる。

 幼稚舎のホームページには、入学試験について「様々な活動を通じて子どもたちのありのままの姿を見るものですから、入学試験のために特別な準備は必要ありません」と一言書かれているのみ。内容は一切記載されていない。だからといって、本当に特別な準備をしていない親は存在しない。

 幼稚舎の試験は運動テスト、行動観察テスト、絵画制作テストの3種類で、他校の大半が行うペーパー試験がない。加えて面接があるのだが、これには親が同席せず、全てを子供だけで乗り切る必要がある。

 この試験対策に親は全力を注ぐ。

 過酷なお受験戦争を勝ち抜いた吉岡さんは、まず“お受験幼稚園”に通うための入園対策から「幼稚舎合格への道」の一歩を踏み出した。幼稚舎に入園しやすいとされる私立の幼稚園が最初の関門なのだ。

 その後、夫が経営者であることから「親力」を駆使して、幼稚舎に毎年何人も合格させるという紹介制の個人塾に息子を入塾させた。そこでは行動観察や体操、絵画の対策を行った。しかし幼稚舎の倍率を考え、滑り止めの併願校受験のために、ペーパー試験対策を行う別の“お受験塾”にも通う必要がある。

 年長児だった息子は週6で塾通いとなり、毎月20万~30万円近くが吹っ飛んだ。