慶應三田会vs早稲田稲門会#11Photo:AFLO

学部を次々と増やし、勢力拡大を続けてきた慶應。だが、近年は不祥事が連発し、慶應のブランド価値を損ねる事態が生じている。また、大学改革ではかつての精神が薄れ、ビジネススクールなどでは早稲田に勢いでまくられるなど、早稲田が付け入る隙を与えている。特集『慶應三田会vs早稲田稲門会』(全16回)の#11では、早稲田と慶應の“逆転劇”の胎動を追う。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

早稲田が慶應を猛追!
ビジネススクールで起きる地殻変動

 2020年1月29日、神奈川県横浜市にある資生堂の体験施設S/PARKでは、資生堂と早稲田大学ビジネススクール(WBS)両者の“重鎮”が顔を突き合わせる、ある大きなイベントが開催されていた。

「WBS meets Shiseido」。WBSのOB会であるWBS稲門会が主催した、企業とコラボレートする初めてのディスカッションイベントである。

 資生堂からは役員2人をはじめ、人事採用室長、さらにはグローバルの社員総勢50人が参加。WBSからは現役生ら50人に加え、メディアでも売れっ子で経営学の大家である入山章栄教授が加わった。そのそうそうたる顔触れから、両者の意気込みの強さがうかがえる。

 ビジネススクールの名門といえば、慶應義塾が長らくその代名詞だった。実際に、国際的にビジネススクールを評価するフランスの調査会社SMBGの「Eduniversal Business Schools Ranking 2020」では、慶應義塾大学ビジネススクール(KBS)が日本国内1位を誇っている。

 ところが近年、WBSの存在感が急速に増しており、「ビジネススクールの勢いで勝っているのは慶應ではなく早稲田だ」というのが、もっぱらの見方になってきている。

 今、早稲田が慶應の地位を脅かす“逆転”が至る所で起きつつあるのだ。