慶應三田会vs早稲田稲門会#13Photo by Hiroyuki Oya

三田会の中でもとりわけビジネス上の実利で結び付いているのが「不動産三田会」だ。会員限定の物件情報が飛び交い、毎月必ず会員同士の取引が成立している。特集『慶應三田会vs早稲田稲門会』(全16回)の#13では、不動産三田会の強さの秘密を座談会形式で明かしてもらった。(ダイヤモンド編集部 大矢博之)

座談会メンバー座談会メンバー(写真右から)
不動産三田会事務局長 利根川竜一氏(2009年法学部卒)
不動産三田会代表世話人 遠藤薫氏(1986年経済学部卒)
不動産三田会副代表世話人 渡邊隆氏(86年商学部卒)
不動産三田会総務代表 田中宏一氏(97年経済学部卒) Photo by H.O.

会員同士で毎月10件取引成立
収益の一部は「成約寄付金」に

――不動産三田会の会員はどんな人々ですか。

遠藤 積水ハウスや大和ハウス工業、旭化成、三井不動産グループなどの大手企業のサラリーマンが約2割。私のような中小の不動産業の経営者が約4割。その他には弁護士や税理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士といった士業の人や、富裕層向けの保険会社の人たちが参加しています。

利根川 会員は不動産業と不動産関連企業の人に限定しています。不動産の売買や管理、賃貸が中心ですが、不動産関連企業として清掃業や設備業といった人々も所属しています。

遠藤 最近は“サラリーマン大家さん”のような個人オーナーも増えてきて1割ほどを占めるようになりました。若い世代は大企業信仰が薄れ始めていて、大手企業を辞めた人もいます。起業やフリーランスへの意識も高い。

――会員数はどのくらいでしょうか。

渡邊 私が参加した1990年代後半は100人もいなかったですね。でも今は約850人まで増えました。

田中 「週刊ダイヤモンド」の『慶應三田会』特集(2016年5月28日号)で不動産三田会の記事が出てから急に増えたんですよ。それまでは新しい会員のほとんどが既存会員の紹介でした。それが、飛び込みで「不動産三田会に入りたい」という人が続々と来るようになっちゃった。

――不動産三田会の月例会の冒頭で発表していた「成約寄付金」とは何ですか。

利根川 会員間での不動産ビジネスが成立した際に、その収益の一部を寄付してもらっています。88年の不動産三田会の発足当初から続いています。

遠藤 不動産三田会はビジネスの推進装置として捉えられていますが、会の根幹の意義は慈善団体です。そこは見落としてほしくない。集まった成約寄付金はすべて寄付しており、例えば学生向けの奨学金に毎年数百万円を寄付しています。慶應以外にも、東日本大震災の際には東北の三陸地方に寄付したこともあります。成約寄付金の額は任意で、数千円から数十万円ですね。

――毎月何件くらい会員間で取引が成立しているのですか。

遠藤 20年は新型コロナウイルスの感染拡大で減っていますが、通常ならば月に10件程度です。20年ほど前、成約したのは私だけでたった1件という月があり、危うく伝統が途切れるところでした。毎月必ず会員同士で取引が成立しています。

――不動産三田会に所属するメリットはなんですか。