運用業界の「二つの不都合な真実」が
インデックス勝利の結論を導き出す

 ところが、人生においてよくあるように、「目指す」ということと「できる」ということとは異なる。長年にわたって運用成績を比較すると、米国でも、日本など米国以外の国でも、アクティブファンドの平均的な運用成績はインデックスファンドよりも劣る事実が明らかになった。

 加えて、運用業界にとって不都合なのは、今後の運用成績が相対的に良いアクティブファンドを「今」選ぶ方法がない、というもう一つの事実だ。例えば、過去に運用成績が良かったファンドを選んでも、「これから」の運用成績の予測の役には立たないのだ。

 これらの二つの事実を筆者は、運用業界の「二つの不都合な真実」と呼んでいるが、二つの事実を論理的に組み合わせると、「投資家にとってアクティブファンドに投資することは非合理的で、インデックスファンドに投資することが合理的だ」という結論が導かれる。

 インデックスファンドが提供するのは市場の平均的な運用成績だが、もともと運用のパフォーマンスを競うゲームにあっては、「ライバルの保有するポートフォリオの平均を持つ」ことが有利なのだ。インデックスファンドの優位性は、特別な条件で成り立つ金融理論に基づくような不安定なものではなく、もっとシンプルで頑健なものだといえる。

 インデックスファンドは、(1)大まかにはアクティブファンドの平均像を保有していて、(2)アクティブファンドほどファンド内での売買を必要としないし、(3)商品として顧客から取る手数料が安いので、アクティブファンドの平均に安定的に勝ちやすい。そして、(4)アクティブファンド同士の間には安定的な優劣がなく、お互いに勝ったり負けたりを繰り広げている、というのがファンド間の運用競争における現実の姿だ。

 インデックスファンド自身にも、指数自体の変化を市場のトレーダーに先回りして利用されることの損失や、指数のベンダーに支払う利用料などの弱点がある。しかし、(2)(3)を通じたアクティブファンドとの「コスト」の差は今のところ大きくて決定的だ。

 なお、インデックスファンド同士にも激しい競争があり、ボーグル氏の後輩たちは各種の工夫の下で手数料・経費の引き下げ競争に励んでいる。