Excelをフル活用している経営コンサルティング業界。では、トップコンサルタントはどのように利用しているのか。特集『ビジネスエリートのためのExcelデータ分析の教科書』(全10回)の#6では、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の「達人」に尋ねたところ、徹底的にミスをなくすための「Excel分析10の鉄則」を聞くことができた。
コンサル業界の達人が伝授
BCG式徹底的にミスを防ぐExcel活用法
「皆さんは、自分の給与明細を見て年末調整の計算ができますか」
世界のコンサルティング企業大手ボストン コンサルティング グループ(BCG)では、若手向けのワークショップでExcelの使い方を教えている。若手が給与明細を片手に、年収から手取り額をシミュレーションし、年末調整に挑むというユニークなものだ。
一口に手取り額の計算といっても、実際にやってみるとかなり複雑を極める。会社が決めた基本給や賞与、通勤手当などの収入から、その収入に応じた社会保険料を求めた上で税金と共に差し引かなければならないからだ。
このように、多くの計算式が複雑に絡み合う作業をこなす上で欠かせないのがExcelだ。経営コンサルタントであれば、Excelの上達こそが分析力アップに直結するといっても過言ではない。
講師役を務めるのは、BCGパートナー&マネージング・ディレクターの堀川隆さん。保険業界に精通したトップコンサルでありながら、社内で一目置かれるExcelの“達人”でもある。ワークショップも社内有志の強い要望を受けて実現した。
その堀川さんが若手に対して最も強調することは「数字の間違いを犯さない」ということだ。
というのも、Excelではデータ分析を進めれば進めるほど、計算式や関数が増えて間違いにつながりやすいからだ。手軽に分析できる一方で、ひとたびミスを犯せば、分析結果はミスの上にミスが重なってしまう。これでは、コンサルとして致命傷になりかねない。
実は、堀川さん自身、苦い経験がある。20代のころ、予算管理の仕事でExcelの計算処理を間違ってしまい、親会社を巻き込んでの大騒ぎになった。そこから得た教訓が、「間違いが生じても、間違いが分かるようにしなければならない」ことだった。
そこで堀川さんは、「徹底的にミスをなくすExcel活用術」を編み出した。「Excel分析10の鉄則」をお届けしよう。