Excelを使えば、会社の数字に隠された経営の力までも簡単に浮き彫りにできる。Excelを使って決算分析をしたいと思うビジネスパーソンも多いだろう。そこで特集『ビジネスエリートのためのExcelデータ分析の教科書』(全10回)の#7では、楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストの力を借りて、初心者でもできる分析方法を教えてもらった。(寄稿/楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト 窪田真之)
これであなたもアナリスト!?
Excelを使って決算分析
企業の決算書を見るとき、普通のビジネスマンであれば売上高に注目することでしょう。売上高が増えていれば「きっとこの企業は成長している」と思いますよね。
必ずしも間違いではないのですが、売上高というものは景気に左右されることが多い指標です。そのため、仮に伸びていたとしても企業本来の力なのか、それとも景気の影響なのかを見極めることが案外難しいのです。
では、分析するときにはどこに着目すればいいのでしょうか。実は多くのアナリストが注視しているのが「営業利益率」と呼ばれる指標です。これは、本業のもうけを示す営業利益を売上高で割った値で、企業の競争力を測る上で非常に重要な数字です。
例えば、売上高が増えているにもかかわらず営業利益率が悪化していれば、競争環境が厳しくなっている可能性があります。
一方、売上高が減っているのに営業利益率が改善していれば、企業の競争力が増しています。この状態で景気が良くなると一気に利益が伸びる可能性が高く、「買い」と判断できます。
このように利益が伸びる局面は株価に直結するため、見極めがとても重要です。アナリストは営業利益率の推移をよく見ており、そこから企業の競争力の変化を捉えているのです。
もっとも、これだけアナリストが見ている指標にもかかわらず、不思議とメディアなどではあまり触れられていないので、なじみが薄いかもしれません。
そこで、気になる企業があれば、10年分ぐらいのデータを集めて営業利益率の推移を調べてみましょう。データは売上高と営業利益があれば大丈夫ですが、最終的な利益である当期利益も押さえておくとよりよいでしょう。
なお、データの調べ方やExcelで営業利益率を出すやり方は、次ページの図(1)~(3)にまとめています。
さて、具体的に企業の事例に移りましょう。まずは、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドを例に取ってみます。