キービジュアル#8
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外食大手「兎屋ホールディングス」に勤める入社3年目の江川真代は、会社に持ち込まれた買収案件の可否を判断する大役を、経営企画室のエース社員である佐藤昌毅と共に任される。Excelを駆使して買収候補企業の財務データを洗い出す江川に対して、佐藤が衝撃の指示を下す。「マウスは没収だ」――。その理由とは?特集『ビジネスエリートのためのExcelデータ分析の教科書』(全10回)の#8ではストーリーの前編をお届けする。

「週刊ダイヤモンド」2015年2月28日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

ストーリーで学ぶExcel活用術!
事業計画と見やすい表を作る方法 

江川 このブラウンボトルコーヒー、昔から大ファンなんですよ。学会発表で東京に来たときに初めて入って、コーヒーってこんなにおいしくて、カフェってこんなに居心地がいいんだとびっくりしたんです。そのブラウンボトルコーヒーが、経営危機のために身売りってなんだか悲しい気分になりますね。

 それにしても、他のみんなが寿司チェーンの買収案件で忙しいとはいえ、2人で案件なんかやるんですね。佐藤さんと一緒に仕事ができるなんて楽しみです!

佐藤 まあ2人で案件を見るとかはよくあるんだけどな。まずは、この会社の基本的な情報をまとめておいてくれるか? ブラウンボトルの経営陣から5年分の財務資料とか他社比較とかもらっただろ。その財務情報をA4用紙1枚にまとめておいてくれ。

 とりあえずは部内での検討用だから、そんなに細かいものは要らない。概要だけ分かるようにしておいてくれたらいいよ。できた時点で会議をしよう。

江川 分かりました!

経営企画室のエースが
「マウスを捨てろ」と指示する理由

(3時間が経過。せっかちな佐藤は待ち切れなくなって江川のデスクにやって来る)

佐藤 まだか?

江川 もう少しでできるんですけど、えーっと、カチカチカチカチ(マウスをクリックする音)。

佐藤 ……、おまえ、この部署の他の先輩からExcel習ってないのか?

江川 え、別に習ってないとかじゃないですよ。ほら、ちゃんと参考書もこれだけ買って全部読んでるんで、機能とかもちゃんと覚えていますし。カチカチカチカチ(マウスをクリック)。

佐藤 マウスをよこせ。

江川 え?

佐藤 聞こえなかったのか? マ・ウ・ス・を・よ・こ・せ。

(江川はマウスのコードを抜いて佐藤に渡す)

佐藤 これは没収だ。

江川 えええ、でもマウスなしにどうやって仕事するんですか? ほらファイル開くのにも困るじゃないですか。

佐藤 今やっている作業っていうのは、五つの同じようなテンプレートの財務データのExcelファイルを一つのファイルにまとめることだよな? かわいそうだからこれだけ教えてやる。

(そう言いながら、佐藤はポストイットに何やら書き込んでいる)