違法コンテンツの責任を負わなくていい
法律で特権を持つ米国のSNS運営会社

 米国では、ネット企業やソーシャルメディアは、通信品位法第230条により大きな特権を享受しています。具体的には、それらの企業がネット上に築いたプラットフォームを通じて、ユーザーが提供する投稿などの情報について、それが違法なものであったとしても、掲載したことの責任を問われないのです。

 かつ、ユーザーがわいせつ、扇情的、暴力的など好ましくないと考えられるコンテンツを投稿した場合に、それらへのアクセスを制限するためにネット企業の側が善意で行ったいかなる行為についても法的責任を問われないとされています。

 米国では、この通信品位法第230条の特権により、ネット企業が大きく成長できた一方、ネット企業がそれを濫用するケースがあることから、第230条の修正が必要という議論が行われている最中です。しかし、その議論如何にかかわらず、アカウントの永久停止というツイッター社の措置は、明らかに意思決定としては偏向しているのではないでしょうか。

 マスメディアは“publisher”として、提供した情報が間違っていた場合などは責任を問われるのに対して、ネット企業は“publisher”ではなくプラットフォームという“導管”を提供しているだけであり、またネット上には多くのプラットフォームやサイトがあることから、ユーザーは自由にネット上のほかの場で投稿できるといった点が、第230条の特権を定めた背後にあると思います。

 しかし、この法律が制定されたのは1996年です。それから四半世紀経った今はどうかというと、ソーシャルメディアはマスメディア以上の影響力を持つに至りました。かつ、ソーシャルメディアの世界は、ツイッターやfacebook、YouTubeなど少数のプラットフォームによる寡占状況となっています。

 そうした中で、個々の発言が不適切な場合に削除などを行うのは当然として、アカウント自体を永久停止するのは、マスメディアの報道に異論がある場合に、自由に意見表明するという表現の自由を奪うことになりかねないのではないでしょうか。