新型コロナウイルスの感染拡大によって、最も大きな打撃を受けた業界の一つが航空業界だ。就活生にも人気の高かった航空業界の多くの企業が、一部職種を除いて21年卒の新卒採用を中止。22年卒についても採用活動を見送る可能性が高まっている。こうした状況下で、子どもの頃から航空業界で働くことを夢見てきた就活生は、どのように新しい道を模索しているのか。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)
航空会社目指すも採用中止
就職は決めたが「リベンジする」
都内の大学に通う大学4年生の女性は、航空会社の客室乗務員になる夢をかなえようと、小学生の頃から英会話教室に通うなどの努力を続けてきた。大学は英文学科に進んだ上でオーストラリアに短期留学し、接客スキルを身に着けようと洋菓子店でのアルバイトにも励んできたという。
大学3年生の冬にはエアラインスクールへ1カ月間通い、空港の国際線カウンターで実習を体験。「客室乗務員ではなく、グランドスタッフとして働きたい」と志望を変えたときに、新型コロナウイルスの感染が日本国内でも広がり始めた。
その後、この女性が大学4年生になった昨年5月には、多くの航空会社が採用活動の一時中断を発表。7月には、採用中止が正式発表された。
「とにかく選考のステージに立てないことが悔しかった。それまで航空業界だけに絞って就職活動に臨んでいたが、採用の一時中断が決まってからは『内定を取らなきゃ』と、一から別の業界を調べていくことにした」
ホテルや外食、小売業界などの説明会に参加し、選考に進むなどもしたが、なんとなくしっくりこない。そんなときに利用を始めたのが、就職エージェントサービスだった。
「エージェントの方とお話をする中で、通信キャリアの販売事業を紹介してもらうことに。最初は全く見ていない業界だったので『え?』と思ったが、接客自体には関心があるので、まずは説明会に参加してみようと。すると、いろいろな不安にも誠実に答えてくれる社員の人柄にひかれた。実際に内定をもらった後に“お客”として販売店に行ってみたときにも、とても社員にいい印象を持ったので、内定を承諾することに決めた」
この女性は4月から内定先の企業で働く予定だが、航空業界を完全に諦めたわけではないという。
「実は内定先は比較的休暇も取りやすいので、採用が復活したら受け直したいと思っている。既卒の採用情報を能動的に取っていけるように、情報のアンテナを常に張っていきたい」