文芸春秋に入社して2018年に退社するまで40年間。『週刊文春』『文芸春秋』編集長を務め、週刊誌報道の一線に身を置いてきた筆者が語る「あの事件の舞台裏」。人と会うのが仕事の編集者は、相手に合わせてお店も変えます。読者の皆様にお気に入りが見つかればと、記者時代にお世話になった美味しいお店をご紹介します。(元週刊文春編集長、岐阜女子大学副学長 木俣正剛)

*店舗情報は新型コロナウイルス感染症の流行前のものです。営業、サービス内容については変更になっている可能性があります。

沈黙する時間のない
イタリア料理の名店

写真:レストラン
人と会うのが仕事の編集者は、相手に合わせてお店も変える。必ずしも本人がグルメというわけではないが、雰囲気のいい飲食店の情報量は豊富だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「編集者は著名人と美味しいものを食べ歩くから、美味しい店を知っているだろう」とよく聞かれます。確かに、店を知ってはいます。私は文春社内でもお店を知っている方で、よく若い人たちからも接待や打ち合わせのためのお店の相談を受けました。

 正直、自分はグルメでもないし、ワイン通などでもありません。ただ、相手の趣味に合う店をたくさん準備しておく、それが編集者という脇役の大事な仕事だと思っていました。

 たとえば、沈鬱な作家さんがおられます。あんまりおしゃべりも好きじゃないし……この沈黙が編集者には耐えられません。そんな作家との会食にお勧めするのが、東京九段下にあるイタリアン「トルッキオ」。

 この店には、メニューがありません。食材(特に魚は静岡から直送)が大きなお皿に山盛りにされて来て、シェフにこの中のどの食材を食べ、それをどんな調理法で料理するか相談して、食べるものを考えることができます。