Q6. 大企業でアジャイルがうまく機能しない。解決策は

 アジャイルの導入に苦戦している大企業は多い。大企業にアジャイルは向かないのではないかという指摘も耳にする。たしかに、サイロ化が進んだ大企業の中に、自律的でクロスファンクショナルな動き方を導入することは容易ではない。しかしながら、大企業の中にもアジャイルを効果的に取り入れて飛躍的な成果を挙げているところはある。

 大企業がアジャイル変革を成功させるポイントは、大きく5つに集約される。詳しくはボストン コンサルティング グループ(BCG)の論考をご覧いただければと思うが、ここでは要点をまとめたうえで、私なりの視点を付け加えたい。

 まず、全社をいきなりアジャイルに変えようとするのではなく、一部の領域や課題をアジャイルに解決し、徐々に拡大することが重要だ。その過程で必要な人材を育てつつ、アジャイルの思想を組織全体に浸透させるとよい。初期段階においては、社内に経験値やノウハウが不足していることが多いため、経験豊富な外部の力を借りることも有効だ。

 パイロット運用を経て、より幅広い部門にアジャイルを拡大する段階では、従来型の部門にひもづく個人のパフォーマンス評価から、よりクロスファンクショナルなチームにおける貢献を評価する新たな人事制度の構築や、PDCAを高速で回すための組織体制づくりが必要となる。

 そしてなにより、アジャイルが全社レベルで定着するまで、根気強く継続することだ。アジャイルの成果が数か月で得られることは非常にまれで、多くの場合、取り組みは数年間にわたる。変革は簡単な道のりではなく、やり切るには相当な根気と覚悟が求められる。そのときにもっとも重要なのが、経営トップのコミットメントだ。トップが「絶対に変革をやり切る」という覚悟を持ち、資源配分や人事制度に積極的に介入し、新しいカルチャーを根付かせようと働きかけ続けなければ、アジャイルが実現する可能性は低い。究極的には、現場だけでなく、全社の意思決定までアジャイルでやっていくといった覚悟で取り組むことが重要だ。

Q7.内製すべきか、M&A等で外部から調達すべきか?その見極めをいかに進めるべきか

 基本的な考え方として、コア事業に近い領域ほど内製化を進め、周辺領域であるほど外注を検討すべきだ。また、コア事業の中でも定常的に発生する単純作業など、外注によってROIの向上が見込める領域については外注が適しているだろう。

 ただし、ROI観点からずっと外注任せにして、自社内にノウハウが蓄積されない状態には注意すべきだ。以前の記事でも述べた通り、外注は自社に足りないケイパビリティを獲得する絶好の機会にもなりうる。特に、DXの実現に不可欠なデジタル・ケイパビリティについては、初期段階こそ外注も致し方ないが、将来的には内製を目指すべきだと思う。