DX人材の採用・育成の問題点
DX人材の採用に苦戦している企業は、そもそものDX戦略に課題があるケースが少なくありません Photo:PIXTA

デジタルトランスフォーメーション(DX)へと舵を切る企業が増える一方で、DX人材の採用に苦戦するケースが後を絶たない。では、こうした企業にはどのような課題があるのか。リクルートキャリアで主にインターネット分野の採用支援を手がける早崎士郎氏がDX人材の採用に苦戦する企業の課題について解説する。

DXに取り組む企業の裾野が拡大
推進を担う人材の採用が活発化

「当社もDXに取り組むべきと考えているが、何から手を付ければいいのか」

 私たちのもとに、企業の経営陣からそんな相談が寄せられるケースが増えてきました。

 2019年頃までに、DX関連の人材採用を行っていたのは、IT企業やコンサルティングファームが中心で、事業会社は一部の先進的な大手企業のみでした。しかし、コロナ禍に直面した2020年、業務のオンライン化の必要に迫られたのをきっかけに、DXへの意識が一気に高まったのです。

 2020年は、幅広い業界のトップクラスの大手企業がDXに本腰を入れ始めました。そして現在、DXに乗り出す企業の裾野はさらに広がっています。各業界の準大手~中堅クラスの企業、急速にマーケットが縮小していくわけではない業種――例えばエネルギー・化学・素材といった企業、創業100年の老舗企業、EC未経験の中小メーカーなど、幅広い企業が「DX」に取り組むために人材採用を検討しています。

 多くの企業は、DXに取り組むために、どんな人材が必要かもわからない状況からスタートします。まず行うべきは、次のような視点でDXの目的を明確にすることです。

●誰のためのDXか?(顧客/取引先/従業員など)
●何のDXか?DXのテーマ・対象は?
●そのDXによって何ができるのか?
●DXによって何が変わるのか?何が解決されるのか?

 目的を定めた上で、「どんなリソースを活用するか」「誰がやるのか」などを検討し、組織形態や必要な人材要件の定義へ進んでいきます。